地震 16 (3.20  23:00)

羽鳥@幸区 川崎です。
( 配布不要の方はご連絡をください。->yutaka@hatori.or.jp )

過去記事はこちら 
http://hatori.or.jp/chosaku_0310/1001_/touhokujishin_1103/touhokujishin_top.html

 

1.
仙台に検案にゆかれた横浜市大総合医療センター古川教授の報告(修正版)

【仙台派遣、報告メモ】2011年3月16日 8時 初版
2011年3月18日 12時 追加、修正
2011年3月19日 15時 追加、修正

横浜市立大学附属 市民総合医療センター、古川政樹
本報告は、震災発生後、48時間後に現地到着、2泊3日滞在し検案に従事した際の簡易メモで、私たちの後から現地に向かう方々のためにとりあえず記載、公開をしました。初版は数値等、不正確な部分もあったかも知れません。また、万一、表現等、適切でない部分などございましたら、お詫び申し上げます。速報性という観点からは役目を果たせたかと思いますので、今回の修正、追加をもって最終確定版とさせて頂きます。
なお、この他に、1.『検案作業の詳細(とくに経験の浅い医療者、行政向け)』、2.『今後、同様の事態が生じた場合に向けて検討すべき課題等(勿論、二度と起きて欲しくないことですが)含めた、派遣の全体報告』は別途とりまとめ中です。

【3月11日】
14時46分、東日本大震災(東北関東大震災)
【3月12日】
12日、14大都市医師会連絡協議会の災害協定に基づき、仙台市医師会より札幌医師会を通じて、仙台市を除く13都市医師会に検案のための医師派遣要請、電子メールにてあり。衣食住は自己完結でとのこと。
横浜市医師会より横浜市立大学附属市民総合医療センターに1名の医師派遣依頼あり、古川が承諾(18時最終決定)。
【3月13日―15日】
《13日 日曜日》
13日8時、横浜市医師会を出発。
15時、現地到着。地震発生から48時間。対応が早かったのは仙台医師会→横浜医師会というこまわりの効く連絡網が使われたためと思われ、この点は今後、重要なポイントになると思われる。

医師2名、事務1名、運転手1名。
ワンボックスカー、緊急車両の許可を受け、高速使用。
東北道、栃木県あたりから、道路の凹凸あり。段差の激しいところは簡便修復で対応。
一般車全面開通には時間かかりそう。
福島県内は新幹線架線の柱、傾き多く、こちらも復旧には長期間かかりそう。
SA等、栃木県南部までは営業。

14時頃、仙台市内。
建物倒壊や一般道路損傷自体は少ない。阪神淡路大震災と様子が異なるとのこと(同行した医師、阪神淡路大震災の経験あり)。
仙台南ICで仙台南部道路に入り、名取川沿いを海岸方向に向かい走行、河口から7-8キロあたりまでは津波の痕跡確認。一部海水残存。
仙台南部道路から仙台東部道路に入ると段差など強く通行不可能で、一般道路へ。
信号等ほとんど停電。
携帯電話、メールはたまに通信可能。

15時
ご遺体安置場:仙台市北の利府町、グランディ・21 宮城県総合運動公園到着
停電。自家発電装置で照明し、その中で作業

検案前ご遺体、100体ほど安置。
宮城県警の指揮下、他府県(警視庁、滋賀、岐阜など)検視チームと仙台市医師会医師(県警協力医師、歯科医師)が対応中。
札幌、名古屋医師会医師は既に到着。
2名で5例検案し18時終了。地元の方は11日から開始、12日は20時まで行ったとのこと。ボールペン、朱肉も持参物を使用。勤務先病院のゴム印があると良かった。
ご遺体についてる発見場所住所が略記のためわからず、書類記載に、その都度、地元の方に確認必要。

ホテル確保、19時到着、ツイン(エキストラベッドでトリプル)に4人宿泊。1名は寝袋。電気、水は使用可、ガス使えないため暖房、風呂は使えず。建物内でも冷え込み強い。
食事は途中で購入した、パン。ビールはホテルの自販機で購入。インターネット接続、備え付けのlanケーブルで可。
22時就寝。
札幌医師会は同じホテル。名古屋医師会は秋保温泉を予約し、現地に行ったが、結局泊まれず、市内のビル内で一夜を過ごしたとのこと。救援者でも優先権はなし。私たちのグループに関してはさまざまな交渉事はすべて事務方が適切に対応、医師は検案に専念できた。

《14日 月曜日》
6時起床
朝食パン。
8時出発
途中、信号などほぼ復旧。通勤者多し。コンビニ、ガソリンスタンド、開いてるところ、開きそうなところは順番待ち列。スタンドは長蛇。

9時から18時検案。6-7グループで対応。昼休み1時間。昼食はパン。グランディ・21は電気は復旧。
2名で30体。全員溺水。外部損傷は少ない。高齢者多し。検案終了したご遺体を同じ館内の別に仕切られた場所で担当者が棺に収め安置。身元確認のためのご家族はまだ少数。
午後、法医学の専門家到着。宿泊は宮城県警により山形に用意と。片道1時間半。

19時ホテル着。
事務方、交渉し、シングル2つ追加確保。夕食、お湯は沸かせるので、お湯をいれて作る食品。しかしカップラーメン等は横浜でも入手できなかった。名古屋医師会が山形まで行き、コンビニ弁当購入、わけてもらう。
22時、4名ともベッドで就寝。

《15日 火曜日》
6時起床
朝食パン。
8時出発
道中は14日とほぼ同様

9時から12時まで検案。2名で10体。全員溺水。
朝、川崎市医師会医師、2名到着。神奈川県医師会派遣医師は気仙沼方面?に向かったとのこと。仙台市内と異なり相当の困難が予想される。
体育館全体にブルーシートを敷いていたので、搬送されるご遺体は今後、増加する模様。検案作業のみ考えても大変な状況、混乱が予想される。
札幌医師会は車でなかったため、福島空港から帰る予定とのこと。

・少なくとも仙台市内はライフライン徐々に復旧の印象あり。

12時15分出発。
帰路、大きなトラブルはなし。
福島原発ともっとも近い箇所(二本松あたり、原発まで50キロほど)は13時30分頃、通過。
黒磯paは営業、暖かい麺類販売。

首都高に入り、葛西から新木場まで緊急車両も通行止めのため、その箇所のみ一般道利用。

18時病院着。衣服の被爆量チェック、異常ないことを確認し、解散。

以下、思いついたこと。
あるとよいもの。
通常、考えられるもののほか、
実際には使わなかったが手巻き充電ラジオ(電灯、サイレンつき、携帯充電可能)、あると安心。
パソコン無線接続用のイーモバイル。
携帯電話は今、全部そうかもしれないが、ワンセグ対応可能、緊急地震情報を受信できるものが必要。テレビ放送は行われていたが、ホテルのテレビは壊れていた。
さまざまな方面との連絡、情報収集が最も重要なので、ある程度IT機器使える人材が望ましい。
また、マネージメント能力の高い事務同行者必要。そうでないと、医療職が自分の役割に専念できない。
車内でパソコン、携帯など充電できる装置、必要。
事務局は災害優先電話持参。

高速のスタンドは少なくとも昨日(15日)は、栃木くらいまではあいていた。
一般道ではほとんど給油無理。近隣の人も高速のスタンドに灯油なども買いに来ていた。
緊急車両が並んでいても多くは軽油なので、一般車でガソリンを購入といえば、余り並ばないで済む。行きは可能なところで、その都度給油するのがベター。
今は車だと原発が心配。

安置所のみだったので、何ともいえないが、医療活動の現場が想像を絶する状況であるのは確かと思われる。

最後になりましたが、改めて被災された方々に、衷心からのお見舞を申し上げます。
以上

2.フライングドクターより援助の申し出

羽鳥先生、皆さま、
麻生区の新ゆり内科・高橋央と申します。
震災関連情報を有難うございます。私には大変役立っておりま
す。さて、私は以前フライング.ドクターを国外でしてい
た関係で、AOPA-JAPAN(日本自家用機オーナー・操縦士協会)
のメンバーです。この会では、震災発生以来、医療・生活物資
などを会員の篤志で、小型機を使って被災地へ空輸しておりま
す。
川崎市(または神奈川県)医師会で、検死に向かう会員や衣料品
を至急で送りたい(または帰したい)場合、大変お役に立てる
のではないかと思います。特に検死作業を続けて行う場合は、
参加者の往復の足が確保されると、随分と参加しやすくなるの
ではないかと思います。運航区間は、調布~被災地付近の空港
となると思われます。
宜しかったら、連絡を取り持ちますので、遠慮なく御連絡下さ
い。
高橋央   医院:044-969-3001

 

3.AMDA の活動、知っている先生も出動されてました。

 大和市医師会の小林米幸です。AMDA本部からの報告を転送させていただきます。

> ■□□□ AMDAメールマガジン ─  救える命があればどこへでも
> 2011年3月18日■□□□
>
> *AMDA速報-東日本大震災・緊急支援活動6
> ━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━
>  地震・津波発生から丸1週間が過ぎ、避難所で暮らす人々からは疲労
> の色が隠せない。肉体的にも精神的にもかなり厳しい状態である。
> AMDAでは、岩手県被災地での活動地域(釜石、大槌町)でのAM
> DA医療支援チームの受け入れ・活動体制が確立してきたことから、
> 3月19日に14名の緊急医療支援チームを派遣することが決定した。
>  仙台のAMDA医療チームからの報告によると、18日には石巻市避
> 難所二ヶ所の巡回診療。地区によっては物資・医薬品の供給にばらつ
> きがある様子。
>  岩手の派遣チームも避難所での巡回診療活動を釜石市、槌田町で行っ
> ている。18日正午ごろには、茅ヶ崎ロータリークラブの物資輸送便や、
> 岡山県総社市からの物資輸送便が活動拠点に入り、大槌町弓道場避難
> 所などへ向かい、避難所で暮らす方々へ、物資の提供が行われた。
> 15日から大槌町で巡回診療を行っていたAMDA山本医師(長崎大学
> 病院医師)のはたらきかけで、長崎大学の医療チームも大槌町へ合流。
> AMDAの派遣者と長崎大学の医師や看護師らが、協力して現地で活
> 動を行っていく予定。
>  さらに、被害が大きく医師不足の南三陸町から、AMDAへ医師派
> 遣の依頼があった。これを受けて、医師、看護師を含む医療チームを
> 緊急派遣することを決定した。
>  なお、現地への移動として 株式会社ノエビア が小型飛行機(岡山
> 空港から岩手県花巻空港)とヘリコプター(東京ヘリポートから宮
> 城県南三陸町)を提供する。
>
> 【 3月19日出発 第八次派遣者  計17名】
>
> 9:30 岡山空港2F国内線待合ロビー集合
> 10:30岡山空港発 岩手花巻空港着
> セスナ便にて釜石市、大槌町へ向けて医療従事者を派遣
> 計6名
>
>  ■高岡邦子(たかおか くにこ):内科医師、東京在住

> 3月19日までの派遣者予定数(3月18日現在)
> 医師16人 看護師7人 助産師2人 准看護師1人
> 薬剤師1人 調整員17人  計44人
>

 

 

4.表参道 伊藤病院 院長 伊藤公一先生から
(まだ、転載許可をいただいてないのですが、、、)

私からは、甲状腺疾患専門医として2つメッセージをお送りします。
甲状腺ホルモン剤(チラーヂンS)の生産ライン(あすか製薬)が、この度の震災で休止しております。
よって現場が混乱しつつありますが、会社は緊急輸入、生産ラインの移転(原末のストックは十分あります)に動いております。
いずれの方法でも1ヶ月ほどで震災前の状況に戻るものと聞いております。
ちなみに当院では可及的措置として長期処方を控え、短期の処方で、現在の限りある資源を大切にしております。
有事であり、患者様は皆、快くご協力を下さっております。
日本人の良識に感激です。

放射能と甲状腺の関係が話題になりつつあります。
誤解が生じないように、病院のホームページと連載する雑誌「美学」の原稿(添付ファイル)にメッセージを発しました。
ご覧いただければ光栄に存じます。

http://www.ito-hospital.jp/

「放射能と甲状腺」

全く別内容の原稿を記していたところに、突然の大地震が起きた。東京にいた当方に被害はなかったが、太平洋沿岸を中心とした東北地方に、想像を絶する大きな災害が生じた。

そこで今号は、この頁を拝借して、甲状腺疾患の専門医、放射線治療に携わる医師として、伝えるべき内容を記す。

僅か1週間のうちに、報道の争点が、地震発生直後の恐るべき津波から、放射能漏出の不安にシフトした。海外からの注目点も然りである。

そこで刻一刻と、不安を増長させる怪情報が伝わっているが(多くはネット社会における悪意の情報発信や噂話)、真実は1つである。今こそ、決して不要な情報に惑わされずに、日本人は毅然としなければならない。

馴染みの薄い細かな放射能単位、発電機器のメカニズムについての難しい説明が、恐怖感を掻き立てている感もあるが、政府からの公式発表を信じる限り(信じるべきである!)、首都圏の人間に、公衆衛生上の健康被害が発生する危険性を全くない。

各論として問題視されつつある放射線と甲状腺の関係について述べる。甲状腺はヨウ素を取り込んで甲状腺ホルモンを創る臓器であり、通常は食物からヨウ素を消化、吸収し、体のバランスを保っている。このようにヨウ素は生きていくために必要不可欠なものである。

よってヨウ素欠乏状態にあれば、甲状腺が原因で体中に問題が生じるが、食事で十分なヨウ素を採っていれば、全く問題がない。ヨウ素自体は無論、目視が出来ないが、食塩にも添加されているし、そもそも日本食には十分な量が含まれているので、日本人には、まずもってヨウ素不足の心配はない。

ところが甲状腺は、放射線感受性が高い臓器であり、放射能を含むヨウ素(放射性ヨウ素I-131)が必要以上に体内に取り込まれると集中して悪影響が及ぶ。実際に、チェルノブイリでの原発事故後の東欧諸国で、小児を中心とした甲状腺癌の増加が見られた事実がある。

よって、大量の放射線被爆を受けた際、あらかじめ、あるいは直後にヨウ素を多量に摂取し、甲状腺に集めておけば(ヨードブロック)、放射能が甲状腺を攻撃できず、甲状腺癌にならずに済む。

これらの理屈により、自治体ごとの判断で、ヨード剤そのものが配られていることが、さらなる不安に拍車をかけているわけだが、はたして、被災地域以外の方々に本質を、きちんと説明されているのであろうか?

重大なメッセージを発信する。放射線ヨウ素による甲状腺癌発ガンの危険性は40歳未満、とくに放射線に敏感な小児に高く、それ以上の年齢の方には問題がない。チェルノブイリではミルク等に含まれた放射性ヨウ素による体内からの被爆(内部被爆)が主原因であった。ヨウ素の過剰摂取が危険を及ぼす甲状腺疾患(橋本病や甲状腺手術後)の方が多数存在する。

これらの科学的事実が知らされず、都会で昆布やイソジンうがい液が買い占められたようだが、識者である「美学」の読者の方々には是非とも冷静に行動してもらいたい。

そして、今後の国状は読めないが、この雑誌発刊の頃には、ヘリコプターや放水車を使った放射線設備冷却活動を成功させた関係者の方々の勇気が称えられ、諸外国から日本人全員の冷静沈着さが評価されるフェーズに入ってもらいたい。

東日本大震災で被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。犠牲になられた方々のご冥福と、被災された地域の一日も早い復興を心より願っております。

5.
チェルノブイリ原発事故から20年
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/interna_heal_j/chernobyl-3.html
-WHO放射線プログラムと緊急被ばく医療対策-
長崎大学医学部教授 山下俊一
1986年4月26日未明の大事故から今年で20年が経過しましたが、 周辺の汚染地
域では500万人を越す一般住民が今なお生活しています。この間放射線誘発と考
えられる小児および若年者の甲状腺がんが5000例近くも発症しました。これは人
類史上初めての経験です。さらに事故直後の現場における大量放射線被ばく者や
数十万にも及ぶ除染作業者の健康影響も長期にわたり懸念されています。この渦
中、唯一の被爆国日本の心と経験を生かすべく、チェルノブイリ被災者への救援
や継続した医療支援活動が行われてきました。しかし、低線量慢性被ばくの実態
解明や、その健康影響についての解析は遅々として進まず、長期にわたる注意深
い経過観察が必要です。私が派遣されたWHOでも、長年にわたりチェルノブイリ
原発事故関連プロジェクトに種々取り組んでいます(1)。

 

6.
石川県城北病院斉藤先生から
<読売新聞のニュース
<http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110319-OYT1T00425.htm?from=main6
<原子力安全・保安院の西山英彦審議官は19日の記者会見で、福島第一原発の
<事故で自主避難が始まっている同原発30キロ圏外の福島県浪江町や飯舘村など
<について、「すぐには体に影響が出るわけではないが、長く滞在すると影響が出
<る可能性がある」と述べた。
<18日に浪江町で毎時140マイクロ・シーベルト、飯舘村で同62マイクロ
<・シーベルトという高い放射線が観測されたことを受けて発言した。。

⇒ ここまで発表するのであれば、現在の避難勧告の範囲では
不十分なように思います。
もともと国民は、原発が安全なものと思いこまされてきました。ですから、
将来にわたっても、健康被害が起こらないようにしてほしいはずです。
ですから、「今は影響は出ないが将来は可能性がある」では、
国民感情は許されないでしょう。また、将来、どんな可能性がでるのか
についても言及すべきだし、何キロ以内はマスクや衣類や食べ物は
どうすべきとか、もっと細かく注意事項を国民に指示するべき
ではないでしょうか。
斉藤典才 

7.
チェルノブイリ事故 WIKIPEDIA
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80%E4%BA%8B%E6%95%85

8.
原発・放射性物質に関して:英国SMC発・専門家コメント[3/17到着分]
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1220
日本の原発の現状についてでした。英国政府主席科学顧問(Chief Scientific Adviser)ジョン・ベディントン (Sir John
Beddington)が代弁者をつとめ、数名の原子力発電の専門家も同席しました。日本の現状について、彼らの状況判断は下記の通り: ●比較的悪い場合(1個の原子炉の完全メルトダウンとそれに基づく放射性爆発の場合)、避難エリアの30キロ(訂正前:50キロ)は人の健康の安全を守るために十分な距離でしょう。もっと最悪な状況でも、(2個以上の原子炉がメルトダウンする場合)1つの原子炉のメルトダウンのときと比べ、被害にさほど変わりはないでしょう。●現状の20キロ退避指示区は現状の放射能レベルにたいして適切な範囲でしょう。このまま炉心への海水注入を続くことができれば、大きな事件を防ぐことができるでしょう。これからさらなる地震と津波が起きた場合、海水注入ができなくなる可能があり、その場合上記のメルトダウンが起こる可能性があるでしょう。●基本的に、専門家は東京住人の健康への悪影響はありませんと予想してる。健康に悪影響を起こすために現状の放射能の何百倍のレベルが必要。専門家はそのような状況にはならないと言う。(しかも、専門家は妊婦や子供へ影響するほどの放射能を基準にしていた。

9.
大前研一氏の講演 (元日立製作所高速増殖炉事業に携わる)
http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0

ということは、この瞬間にスリーマイルと同じ状態でオシャカというか、後はコンクリ漬けにして、50年か100年経って、どうするか、後の人に決めてもらうと。あの原子炉はその瞬間に終わっちゃったんですね。ただ、まだいわゆる崩壊熱という熱が、ずっと出続けてますので、予断は許さないんですけど。海水の注入に成功していれば、それからボロンが十分に入ってれば、核暴走する可能性は非常に少ないけれども。熱がどんどん上がってきて、それで溶けてしまうと、結局、もう一回ですね、臨界になって暴走する事はあるんですね。で暴走した時に、核分裂が急加速しますんで、体膨張が起りまして。その瞬間に飛び散って。でその飛び散った勢いが非常に大きいと圧力容器を破ると思います。で破って外側に出るけど、それで終わりですね。
こういうものってのは、ジェーン・フォンダのチャイナシンドロームなんかで「炉心溶融で下にたまったやつが溶けて中国まで行っちゃう」という嘘の物語がありますけど。実はこのモノってのは、主としてウラン酸化物です。だから2700度で溶けて、火の塊になるんですけど。それで鉄は溶かしちゃいますから。下にドンと行きますけど。その時に、これだけ沢山の水があると、それで、大体収まると思いますし、そこで核暴走、つまり臨界の形、丸い形を取ると臨界しやすくなるんで、臨界を取った時には、物理的に膨張「バーン」としますんで、ものすごい温度が上がりますんで、膨張した時に臨界の形はもうしない。ということで、特に周りにボロンがあれば、それで一貫の終わり。暴走からみると。止まるんですね。これで暴走は避けられるだろうと、つまり、チェルノブイリ型ってのは暴

10.
京都府立医科大学救急・災害システム学教室の山畑です。
救急総研が、被災地の医療ニーズと支援者の
マッチングのサイトをオープンさせました。
参考になさってください。
http://www.qq-souken.org/support/

その他、参考になるページです。
首相官邸
http://www.kantei.go.jp/saigai/index.html

内閣府防災関連
http://www.bousai.go.jp/

宮城県 避難所 被災者リスト
http://www.pref.miyagi.jp/hinanjo.htm

宮城県 医療救護班募集
http://www.pref.miyagi.jp/iryou/H23jishin/iryoukyuugohan.htm

救急総研のオリジナルページ
http://qq-souken.org/

 

11. 川崎市健康福祉局坂元医鑑から

皆様
**特に行政関係の方に知ってほしいです。
坪谷と申します。
仙台にある東北大の公衆衛生の大学院生です。
知り合いより医療機関の情報を集めました。
主に現場で何が必要としているのかについて書いてもらいました。
医療機関によっては、行政と連絡が取れず現状を伝えることができず、
ニーズが伝えられず、本当に必要なものが届いていません。転送大歓迎です。
よろしくお願いします。

 

1、石巻赤十字病院(3/15夜の時点)(宮城県)
物資に関しては、当院は食料は何とか3食おにぎり1つだけ食べられています。
飲料水に関しては、一時危機的でしたが、救援が届き、今は何とかなっています。
雑水(トイレの水など)は本日で尽きると報告されました。
電気は14日より病院のみ開通しました(それまでは自家発電で最小限のことは維持できていました)。
ミルクは迅速な支援でかなりだぶついており、むしろ哺乳瓶と乳首が不足しているとのことです、
お湯も無いようです。
薬剤:絶対的に不足。インスリン、ワーファリン、降圧薬が特に不足
酸素ボンベも不足
無洗米(食料であれば水、加熱、食器の要らないもの)。

病院は慢性疾患の方が薬をもとめて群れをなし、あるいは水道が使えて電気があるので避難所として、また現在透析ができるのが当院だけなので、これを求め、また自衛隊が次々ヘリで搬送し、入院させたくても適応外とせざるを得ないもの、患者以外のもの、施設にいた寝たきりの人々などが集中し、院内そこかしこに多数の被災者が「住んで」しまっている状態です(これらの方々に食料は提供されていません)。そのため衛生(院内は既にアンモニア臭)、治安(盗難が多数発生)上の問題を呈し、その他文章で残すのがはばかられるような事態が発生しています。現在いかに最後の砦である病院を守るかというのが喫緊の課題です(これらの方々に食料は提供されていません)。

脳神経外科として状況は、外傷は意外に少なく、むしろ脳卒中が多発しています。現在の病院の能力で物資的には診療継続が可能ですが、ベッドが既に埋まって個室にベッドなしで2-3人入れる、廊下に担架で入れる等して対応していますが、そろそろ限界です(回復しても、帰る場所がない、もともと入院中の人も帰るところがない)。またマンパワーとしても2人で診療に当たっており(1名はトリアージ)、3名とも疲労が極度に蓄積しています(これは職員すべてにいえることですが)。

2、石巻市立病院(宮城県)
周囲火災と、津波で犠牲者が少数おり、診療継続不能。
旧市外である雄勝地区、鮎川地区、北上地区では病院を含め街はほぼ壊滅で、医療が不要になってしまった。女川地区は未だ未踏の地)。
石巻市内は冠水しており、自分のアパートの回りも死体が浮いている状態です。

3.県南中核病院(宮城県)
当院には岩沼、亘理、山本の海岸部を含めて被災者、患者が多数来院しています。
病院建物の被害はほとんどありませんが、周辺の地盤が下がって段差ができている状態です。
電気、水道などのライフラインは制限内で稼働中です。
携帯電話はつながりにくいですが、病院の固定電話は回復しています。
画像はCT, Xpのみ可能です。MRIは復旧の目処がたっていません。
マイクロが損傷しており開頭術は困難です。(全体の手術そのものにも制限があります)

薬剤、点滴は現時点では足りていると思われますが、今後の供給しだいです。

4.東北大学病院(宮城県)
被災地で最も欲しいもののひとつが粉ミルクです.
被災地の現場では超緊急です.たとえば気仙沼や石巻です.
単位グラムあたりで,助かる人と未来の量は,もっとも効果的と思われます.

粉ミルクの件で補足します。まずは粉ミルク自体を供給していただくことが先決で、
投与の方法はその先です。粉ミルクがあることで助かる子供のために提供と運搬お願
い申し上げます。

5、仙台市立病院(宮城県)

3月12日。地震2日目の夜を仙台市立病院で迎えました。既に400人を超える患
者を受け入れきましたが、現在もなお救急車(他県からの緊急消防援助隊)も含め収容依頼なし
で搬入されてきています。仙台市内の死者もおそらく1000名を超え、宮城県内で
は1万人を楽に超すものと思います。夕方からは他県のDMAT(災害派遣医療チーム)
2チームに当院に入ってもらい手伝ってもらっています。
病院はなんとか診療機能を維持し、電気は復旧、水道は給水車による優先給水、医療
ガスは備蓄でやっています。市内の他院は電気が復旧しないため非常発電に依存して
おり重油の供給がいつ再開されるかがカギです。共通のの問題点は、患者・職員の食
料(備蓄もそれほど多くない。コンビニは長蛇の列)、薬品・診療材料の不足(卸が停

電で機能せず、また壊滅状態となったところもあり、供給の見通しが立たず)等々で
す。市立病院の建物にも一部被害があり、入室禁止箇所があるため入院患者数の制限
を余儀なくされています。
3月13日。地震後3日目の夜となりました。仙台には全国各地から70を超えるDMAT
(災害派遣医療チーム)が参集し、当院には昨日夕方から2チーム(神奈川赤十字病
院、置賜総合病院)、本日は交代で4チーム(新庄病院、独協医大、深谷赤十字、JA
中濃厚生病院)が救急診療のサポートにあたってくれています。地震直後からの受け
入れ患者数は500名を超え(昨日、本日の臨時日中外来を含む)、まだ続々と傷病者
が搬入されています。電気が復旧し非常電源から解放された病院も少しずつ出始めて
いますが、依然として医薬品、診療材料、医療ガス、重油等々の供給体制にいずれも
不安を抱えながら診療にあたっているのが実情です。救急患者の質も少しずつ変化
し、元々重症外傷患者の搬入が比較的少ないのも今回の災害の特徴のようですが、内
因性の疾患が時間とともに増加している印象です。
県庁に宮城県の災害対策本部が設置され、今回初めて医師が災害医療コーディネー
ターとして(大崎市民病院の大庭先生が実質トップでコントロール)災害対策本部に
入り、災害拠点病院、医師会等の無線ネットワーク(電話は全くと言って良いほど機
能しない)を駆使して、自衛隊による空路救出、ひき続き域外搬送(県外病院)や県
内・市内病院への搬送調整、DMATの出動先調整等を行っています。そのため携帯型無
線機を常に携帯しながら絶えることのない余震が続く院内を動いています。
通常の救急医療体制に戻るにはまだまだ時間が必要でしょう。
一緒に働く病院職員や救急隊員の中にはいまだ家族の安否が不明の人たちも少なから
ずいます。
多方面からの御支援、励ましを糧として今日も院内泊です。
3月14日。地震4日目の夜を迎えました。
石巻市立病院が病院機能を維持できなくなり、ほぼ全入院患者を自衛隊の大型ヘリで
霞の目駐屯地は搬送し、そこから仙台市内の病院、あるいは県外の病院へ搬送してい
ます。また東北厚生年金病院も電気が復旧せず、非常発電用の重油の供給が途絶える
等のために患者の他病院搬出をはじめています。仙台市内の病院の受け入れキャパシ
ティもかなり苦しくなっているのが現状です。
本日も県外DMAT(愛知医療センター、千葉県救急医療センター)の医療支援を受け、
心の底から有難く感じています。
3月15日。地震5日目です。当院屋上の煙突(鉄製の煙突周囲をコンクリートで固
めたもの)に崩落の危険があり再評価の結果、仙台市立病院本館の放射線、検査部門
はほぼすべて立ち入り禁止区域となり、また病棟もナースステーションを含め東西と
も立ち入り禁止となったため今後入院患者数を制限せざるを得ず、また現在手術も臨
時のみで、お産も制限されそうです。それでも救急患者の収容要請は途切れることが
ありません。病院の診療能力の低下はやむを得ないものの、できることをやっていく
しかありません。

当院での診療状況は、外来は通常通り開設、救急対応もいたします。
検査機器はCT, MRI, DSAとも稼働します。ただし、MRIは緊急対応のみです。
手術は、手術室のダメージのために制限がありますが、開頭・穿頭ともに可能です。
今回の地震後、急性硬膜外血腫、気管切開などの手術を行っています。
脳内出血、急性硬膜下血腫、視神経管骨折など、通常であれば開頭手術を行っている
ケースも入院していますが、災害対応優先のため、あきらめざるを得ないケースも多数入院しています。

6、米沢市立病院(山形県)
山形県へは福島からの被災された方々がいらしてきています。 当院でも昨日被爆疑
いの方10人程度ERへ訪れ被爆チェックしておりました。(幸いゆゆしき問題のある方
はおらず、服を脱がせて預かった程度でした。)おそらくこの後も増えていくと思わ
れます。山形もガソリンが手に入らなくなりました。

7、磐井病院(岩手県)3月15日
幸い建物の損傷がなく水や燃料の備蓄分で診療を続けられています。
一関市旧市街は電気水道とも部分的に復旧していますが、病院は電源のみ昨日か
ら供給が始まりました。水道は今日来るか明日来るかといったところです。市民
生活では燃料の不足が深刻になってきているようで、開くかどうかわからないGS
に長蛇の列です。通勤の足が確保できず病院に泊まり込む職員もいます。地震の
被害そのものはライフラインの寸断が主なもので、建物被害はさほどなく、これ
らは宮城県のほうがひどいようです。患者トリアージの甲斐もあって院内は大混
乱にはなっておらず、重症患者の受け入れもさほど多くはないようです。津波か
らの生存者は数名搬送されてきました。脳外科は初日の急性硬膜外血腫と、昨日
急性硬膜下血腫を受け入れただけで、緊急手術もどうせできないので比較的暇で
す。薬剤や材料は不足しており、点滴をなるべく減らし、外来の処方日数も制限
しています。いつまでもつのかは不明ですが、現在特に必要なものとしてお願い
したいものはありません。
電気が来たことでおいおい復旧するでしょうが、固定電話;携帯電話ともにつな
がりにくい状況でADSLなどももちろん不通です。院内では岩手県の行政ネットが
生きておりweb-mailは可能です。

8、宮城病院(宮城県)
電気、水道、電話、携帯など復旧の見込みもなく、救急車も連絡手段が無く
突然搬送されて来るのを待つ状況です。検査は単純写と採血がなんとか使えますが、
CTなどは動いていません。

 

12.
m3.com会員の皆様
東北地方太平洋沖地震に関して医療に特化した情報をご提供しています(3月20日12時現在。一部情報抜粋しております)。
おかげさまで皆様のご協力により、「人材・物資 支援要請、支援します一覧」を通じて被災地への支援が実現しています。
引き続きご協力のほど、よろしくお願いします。
◆食事、ガソリン、入院患者受入先 他: 福島県いわき市(3/19)
現状の改善をするために、食糧やガソリンなどの物資供給と入院患者10人+老人保健施設約100人の受け入れ先を求めています。どうぞお助けください。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=397&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

◆精神科経験のある医師、看護師、薬剤師、その他の調理補助員など
被災した他院からも25名の入院患者さんを受け入れています。
さらに県からの追加受け入れ要請が来ています。スペース面では対応できますが、人的確保がないと答えられません。支援をお願いします。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=409&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

 また、岩手県沿岸部を3月19日に視察した、岩手医科大学学長の小川彰先生に現状と人材募集の状況をお聞きしました。

◆岩手医科大学:3カ月救援活動可能な医師(岩手県盛岡市)(3/20)
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=429&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

◆「現地は想像を絶していた、いまだ薬、ガソリン不足」(3/20)
http://www.m3.com/iryoIshin/article/134106/?Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

【支援要請 全15件】
支援要請、支援します一覧:https://www.m3.com/eqboard/eqboard.jsp?Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111
※一部を抜粋してお届けします。
※なお、支援協力依頼等は、サイト上に記載の連絡先に直接ご連絡ください。

◆東北大学病院:支援物資等を受付けています(宮城県仙台市)(3/16掲載情報転載)
東北大学病院では支援物資等を受付けております。医師のほか、保存食から水、紙おむつなどの支援をお願いします。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=415&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

◆至急物資支援をお願いします。(福島県いわき市)(3/19)
地震、洪水被害で孤立。さらに原発事故で物資も不足しています。原発からは37Kmの距離があり安全域ですが、いわきは危険との風評被害のため援助物資が入って来ません。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=400&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

◆ガソリン;職員の足の確保(宮城県仙台市) (3/19)
現在は、院内で寝泊まりしている職員で可動していますが、疲労が蓄積してきています。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=395&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

【病医院別情報 24時間以内の新規書き込み131件】
病医院別情報一覧:https://www.m3.com/eqboard/hospitalBoardTop.jsp?Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

透析可能となりました。(福島県福島市)(3/20)
https://www.m3.com/eqboard/hospitalBoardDetail.jsp?hospitalId=336554&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111#id_354

人工呼吸器装着患者の受け入れ可能(岩手県盛岡市)(3/20)
https://www.m3.com/eqboard/hospitalBoardDetail.jsp?hospitalId=336340&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111#id_355

看護士の疲労(宮城県仙台市)(3/20)
https://www.m3.com/eqboard/hospitalBoardDetail.jsp?hospitalId=340569&Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111#id_353

【震災関連サイトリンク】
災害関連疾患をはじめ、臨床関係の関連サイトを逐次追加しています。
http://www.m3.com/iryoIshin/article/133728/?Mg=068f311476bfccc0cc3074d98665794c&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110320_111

16.
【1】MLインフルエンザ流行前線情報データベース        ■□
■□    http://ml-flu.children.jp/              
【管理者より】
インフルエンザの報告は、2週連続で増加に転じております。
被災地域、避難場所などでの流行が懸念されます。
当データベースに登録された症例の日集計をお届けします。
ML-fluにこの1週間に1件以上報告されたプロジェクト協力医師数は181名で、
一人当たりの報告は22.4件です。そのうち重症例が1件です。
ML-fluの報告推移のグラフは以下のURLです。
http://210.233.67.206/graphimg/daily_graph2.png?1300547101
※最近の報告数の推移を詳しく知るには、以下のページをご覧ください。
http://ml-flu.children.jp/analyzer/type-num.php
昨日[ 2011-03-19 ]登録された症例は、合計366 件で、
陽性例が364 件(陽性率 99.5%)、陰性例の報告が 2 件で
した。
そのTYPE別の内訳は以下の通りです。
陽性:364件[A型 113件(30.9%),B型 251件(68.6%),陽性(判別不可) 0件(0.0%)]
陰性:2件

17.
MRICより
日立総合病院 血液内科
千勝紀生
2011年3月17日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
---------------------------------------------------------------------

僕は茨城県日立市にある日立総合病院に勤務する医師です。3月11日に起きた東日本大震災において、日立市の物的な被害は軽微だったようで、メディアに殆ど登場していないようです。実際、入ってくる話を総合すると、地震で倒壊した家屋は殆どなく、津波は低いところ(海抜2~3メートル程度の建物)を破壊したものの、被害は大きくはなかったというところのようです。

しかし、実際には日立市、あるいは茨城県北部は、かなり困った状況にあります。僕としては、当地域の基幹病院である日立総合病院の現状を記すことによって、当地域の窮状をご報告したいと思います。

まず、当院のインフラでは、建物のうち、古いものいくつかが破損して使用できなくなりました。このため大幅な減床を余儀なくされています。また、凝固検査機械も故障し、測定不能です。MRIも故障しました。

 また、ライフラインの分断は深刻です。電気こそ3月14日に復旧しましたが、この広域停電の間は携帯電話が使えなくなり、多くの医師が病院から離れられなくなりました。復旧しなかったら、医療従事者は今より疲弊していたことでしょう。一方、水に関しては、3月15日時点で復旧していません。このために、人工透析や生化学検査がきちんと展開できません。このままではあと2日で検査不能に陥ってしまいます。ほぼ全域が断水しているので、スタッフの殆どは入浴はできていませんし、洗濯も滞っています。

 さらに、食料とガソリン不足があります。備蓄があった家はともかく、普通の家では食糧不足がおこり始めています。病院での職員への配給は、1食につきおにぎり1個ないし2個で、これも一時は足りないという話があったくらいでした。また、ガソリンスタンドは3月14日に営業を再開したらしく、朝早くから夜まで長い行列が続いていましたが、15日にはなくなっていました。おそらく売り切ってしまったのでしょう。14日までに、出勤してきたスタッフ(主に看護師)で、ガソリン不足で帰れないので泊まり込むという人が増えてきていました。15日からは職員バスを仕立てています。行った先にガソリンがあれば、復旧している近隣に買い出しにも行って帰ってこられるのですが、現状ではそれもかないません。さらに、地域的に遠くから来る患者さんも多く、その「足」もなくなってきていて、薬をもらうための来院そのものが困難になってきています。さらに、常磐線は全線不通ですし、常磐自動車道も通行止めが続いています。

 これらの要因のために、当院は、今週いっぱいの休診、通常入院、外来の停止、化学療法の原則延期をしています。

東京からたった150kmしか離れていないのに、そして目に見えるような被害は殆どなかったのに、日立市はひっそりと被災しています。一見ニュースになるほどの非日常ではないのだけれど、日常からは遠く離れています。誰も知らない井戸に落ちてしまって上を見上げているような気がします。

以上、茨城県日立市からでした。

17-2
横浜の麻酔科医が経験した秋田での地震体験記
震災支援にタクシーの活用を!

横浜市立大学附属病院麻酔科 准教授
宮下徹也
2011年3月20日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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■横浜の麻酔科医が経験した秋田での地震体験記

 昨夏、国立がん研究センターを退職することになった頃だった。横浜市立大学附属病院に復帰が決まった私に懐かしい人から一本の電話が来た。

「秋田県横手市の平鹿総合病院を助けて欲しい」
電話の主は十数年前私が国立循環器病センターに勤務していた頃にお世話になった秋田大学医学部心臓血管外科学の山本文雄教授だった(何故かナショナルセンターで働いた人にしかわからない奇妙な絆がある)。それまで麻酔科医を派遣していた大学の撤退と同院の部長の退職に伴い、常勤麻酔科医がいなくなったとの事だった。大学側の理解を得て、隔週で木曜日から土曜日の朝まで定時手術の麻酔と緊急手術のオンコールをする事になった。

 人口約10万人の横手市(秋田県第2の都市)にある平鹿総合病院は580床を有し、あらゆる診療科が標準レベル以上の医療を展開する文字通り「地域における最後の砦」の中核病院である。この様な病院こそ救いたいと思った。しかし隔週での長距離移動は確かにキツイ。後藤隆久教授(横浜市大麻酔科)に相談し、個人の負担を最小限にした長期的な麻酔科医の派遣システムを模索していた。
半年間に平鹿総合病院の手術室スタッフとも仲良くなり、いつものように横浜から来て木曜日から麻酔を担当していた。そして3月11日金曜日、
グラッ!
「地震だ!」すぐに治まると思っていた。しかし治まらない。思わず無影灯を患者の上から外した。主治医に手術を中断してもらった。全手術室のドアを開放した。無停電電源装置に切り替わった。手術室内の全員が不安だった。

 頭をある略語がよぎった、CSCATTT。
横浜市立大学附属病院手術室では平成19年から毎年「シナリオ形式の手術室災害訓練」を実施してきた。現横浜市立大学附属病院救急部長(当時は麻酔科所属)の中村京太准教授の提案で始めた訓練は災害医学の手法を取り入れた新しいシミュレーション訓練だった。平成23年1月4日に手術室で行った訓練のシナリオは大規模地震発生だった。訓練のテーマはCSCATTTの徹底だった。
CSCATTT。Commander. Safety. Communication. Assessment. Triage. Treatment. Transport. この手順に従う事で効率的に患者の安全を確保する手法である。

 3月11日午後、私が責任者(Commander)に自らなった。適任者は私しかいないと思った。そして安全の確保(Safety)、手術室間並びに災害対策本部との連絡の確立(Communication)、各手術の進行状況、被災状況と病院インフラの確認(院内の電力が1時間以内に停止する事がわかった) (Assessment)、手術続行か否かの判断と応急処置(途中で中止する手術もあった)(TriageとTreatment)、患者搬送経路と搬送先の確保または手術室に留まるか否かの判断(Transport)を行った。幸い院内の傷病者はいなかったため、緊急手術はなかった。そのためパニックを起こさずに対応できた。その後は搬送経路の確保ができない患者と共に暗闇の中で僅かな窓からの陽光と懐中電灯を頼りに過ごした(写真)。そして他の部署の状況把握のため、手術室を出た。院内の全ての人工呼吸患者に対して、医師に張り付いてもらうようにお願いした。ICUではPCPS(体外循環装置の一種)を装着した患者がいた。主治医とMEがすでに張り付いていた。バッテリーはあとどれ位もつのだろうか不安だった。数時間後、患者の生命維持に必要な最低限の電力が回復した。「助かった」、安堵した。しかし災害は終わっていなかった。

 ここは災害拠点病院である。翌日、午前中に電力が回復し今後の対応への会議を経て救急外来が再開した。私と手術室看護師も微力ながら参加した。救急車が多数の患者を搬送してきた。外傷患者を想定していた。違った。一酸化炭素中毒患者が多数だった。関東育ちの私はこの地域の生活を知らなかった。秋田県などの北国では練炭や角を使用したコタツで暖をとっている家屋が多く、電力の供給が途絶えた状態で一酸化炭素中毒患者が増えたのだった。患者に高濃度酸素吸入、血ガス、ルート確保をした。幸い私が担当した患者は軽症ばかりだったが、重症患者はICUに入室する患者もいた。これも災害であった。津波だけではない。しかし予防が可能である。注意喚起である。電力の回復していない状態ではテレビ、電話、インターネットが使えない家屋も多い。地元出身の看護師に相談した。「町内の放送がある」、院長に地元の行政に対して働きかける様に進言した。さらに携帯電話の通話はできないが、メールは使えそうだった。東京にいる友人にtwitterで流してもらった。その後、テレビで注意喚起が流れた。電力の回復も伴い一酸化炭素中毒患者が来なくなった。救急外来は一段落付いた。今のところ(月曜日午前5時)、広域救急搬送はないようだ。月曜日には近隣の大学から応援の麻酔科医が来る事を確認できたため、横浜へ一旦帰る事にした。そしてまた水曜日夜に横手に戻る事にした。

 今後、長期的な医療需要の増加があるだろう。支援が必要な事は明白である。手術室には不測の事態に対応できる麻酔科医の存在が不可欠である。しかし絶対数の不足する麻酔科医の適正な配置を可能にするシステムは未だ構築できていない。それには高い壁がある。政治、行政、大学、病院、医療従事者に存在する利害の壁である。乗り越えなければならない。

 余震は今でも続いている。

■震災支援にタクシーの活用を!

 秋田県横手市にある平鹿総合病院への定期的な支援を始めて半年になる。病院とホテルを往復する際にはタクシーを利用していたので運転手さんから秋田のことを色々教わった。
震災が起きて新幹線が使えないため、羽田から秋田空港まで最終便で飛んでそこから横手までタクシーで向かう途中の会話である。

「秋田ではガソリンは大変でしょう」と私が切り出すと、
「タクシーはLPGだから大丈夫だよ。秋田では大量の備蓄もあるしあまり困ってないよ。」と強い訛りで答えてくれた。
「じゃあ、盛岡や仙台までも楽勝ですか?」と訊くと、
「仙台がギリギリだな」と返事をくれた。

 翌日、横手駅前でタクシーを拾い病院に向かった。ガソリンスタンド渋滞で時間がかかった。その中でまた運転手さんに質問、
「被災地まで行ったりしているんですか?」
「マスコミ関係者が横手のホテルに滞在しているよ。ここからタクシーをチャーターして往復してるんだよ。まあ、一部のタクシーだけおいしい思いをしているんだよ。マスコミもいつも同じ運転手を使うしね。」某TV会社の利用が多いらしい。

「道は大丈夫?」と訊くと、
「(岩手県の)北上までは秋田道で大丈夫。そこからは色々な道を知ってるし。」

 あれだけ被災者の取材をしているマスコミ関係者は現地に寝泊まりしていなかった。この情報は一般には知られていない。この情報があれば、小回りの効くタクシーで多くの被災者が救えるのではないか?ニュースではどこもガソリンや軽油がないため、輸送できないと報道されている。ならばLPGではどうか?(皮肉にも報道する側がこれを利用していた。)

 夜に突然、東京の友人から電話が来た。
「先生、麻酔薬が被災地で不足しています。リストを作りたいのでどんな薬をどこの製薬会社が販売しているか教えてください。」早速調べたのだが、ふと思った。麻酔ができない状態は非常に危険だ。自分で平鹿総合病院の院長に頼んでみた。「タクシーを使えば行けます。」すると院長から「緊急であれば当然支援します。」ありがたい返事をもらい、麻酔薬の足りないとされる大学病院麻酔科に電話をした。すると、「麻酔薬は足りています。」という返事だった。「他の病院ではないでしょうか?」

 東京の友人に調べてもらったら、別の県立病院とわかった。翌朝メールで連絡をとってみると、「実は何とか足りています。大丈夫です。」情報が錯綜していた。

 その夜友人からメールが入った。山形のタクシー協会が輸送に協力してくれるそうだった。東北地方のLPGスタンドはかなりある。良かった。横手のタクシー協会も参加して欲しい。山形より横手の方が近い被災地も多いからだ。

 結局、自分は何もしていない。でもアイディアは活きたかもしれない。

 医療が社会に不可欠であると同時に、社会からの支持と患者からの理解なしに
は医療は存在し得ない。将来の医療を担う人材にこのような素養があることは社
会の利益になるだろうし、医療者自身の助けにもなるだろう。

 

18.
m3.com会員の皆様

東北地方太平洋沖地震に関して医療に特化した情報をご提供しています。
(3月19日12時現在。一部情報抜粋しております)

【支援要請 全14件】
支援要請、支援します一覧:https://www.m3.com/eqboard/eqboard.jsp?Mg=1f9e75a75c3cb0cc1ec5fde2b76286fe&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110319_111

◆灯油、水、ガソリン、人手(福島県いわき市)
原発からは37Kmで安全域ですが、風評被害のため援助物資が入って来ません。
病気を抱えたご老人100名が孤立しています。
このままでは餓死、凍死してしまいます。助けてください。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=400&Mg=1f9e75a75c3cb0cc1ec5fde2b76286fe&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110319_111

◆食事、ガソリン、入院患者受入先(福島県いわき市)
入院患者の食事が提供できなければ、患者や老健の人たちは死んでしまいます。
現状の改善をするために、食糧やガソリンなどの物資供給と
入院患者10人+老人保健施設約100人の受け入れ先を求めています。
どうぞお助けください。
https://www.m3.com/eqboard/detail.jsp?eqboardId=397&Mg=1f9e75a75c3cb0cc1ec5fde2b76286fe&Eml=38202eb939d3ae0430ba5ad7a1726dfe&F=h&portalId=mailmag&mm=MS110319_111

 

19-1
JMMより
『from 911/USAレポート』第504回
「リビア空爆と原発事故の関係をどう理解したら良いのか?」
■ 冷泉彰彦:作家(米国ニュージャージー州在住)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 『from 911/USAレポート』               第504回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「リビア空爆と原発事故の関係をどう理解したら良いのか?」
3月19日米国東部時間午後にフランス、英国、米国の三カ国は、リビアのカダフ
ィ政権に対して、戦闘機とトマホークなどの巡航ミサイル約110発による空爆を開
始しました。日本は、去る3月11日に発生した東日本大震災と東電福島第一発電所
の事故という危機がまだまだ続いていますが、今回の空爆に関しては世界の政治経済
にとって大きな問題ですので、この時点で要点を整理しておくことにします。

 今回の空爆ですが、次のような経緯を取りました。まず2月中旬からのリビア反政
府運動の高揚ということがあり、国軍や外交官を含む多くの人間がカダフィ政権に離
反したのに続いて、東部の油田地帯であり第二の首都と言って良いベンガジを反政府
側が制圧、程なくして首都トリポリ以外の国土のほとんどを制圧しました。ですが、
カダフィ政権側はこれに全く屈することなく、残った兵力を使用して反攻に出ていま
す。

 具体的にカダフィは2月22日以降、航空兵力を利用した反政府側市街地への空爆、
油田設備への空爆を開始しつつ、一般市民と石油産業を人質に取る構えを見せ、同時
に陸上兵力を使ってジワジワと勢力の反転を図っています。反政府勢力は、リーダー
の不在、装備の劣勢ということもあって、これに対抗できていないのです。

 これに対して、オバマ政権はリビア全域に「NFZ(ノー・フライ・ゾーン=飛行
禁止区域)」の設定を検討しました。ですが、これは当初は二つのグループから反対
を受けました。一つは中ロの2カ国です。米国の覇権につながる問題には、とりあえ
ずブレーキをかけるというのがこの2カ国の「デフォルト」姿勢であるわけで、それ
以上でも以下でもないと思いますが、拒否権を持つ2カ国の反対で国連安保理の決議
は難航しました。

 もう一つは、他でもない国内のそれも軍部の反対です。反対の理由は、巨額の財政
赤字を抱えるアメリカとしては「軍事費を聖域化せず」という大規模な歳出カットを
行っており、それを前提とすると「今リビアとの戦争は不可能」という姿勢です。ゲ
イツ国防長官はそうした前提に基づいてNFZの設定にも消極的でした。

 では、どうして今回はそうした抵抗があるにも関わらず、空爆という事態に至った
のでしょうか、その背景には日本の東日本大震災と福島第一の事故があると思います。
といっても、日本の責任で戦争が始まったのではありません。基本的には次のような
四つの要素があると思います。

 まず日本の原発事故を契機とした反原発の世論の高揚により、世界的なエネルギー
問題の総見直しが始まっているのは事実ですが、その渦中においても尚、カダフィ政
権は「反政府派の徹底弾圧」を叫び、「大油田ベンガジの空爆も辞さない」という姿
勢を改めるどころか、攻勢を強めているという問題があります。

 これを受けて、3月17日の国連安保理ではリビアへの「NFZ」設定が中ロを含
む10カ国の全会一致で採択されています。これはエネルギー危機の中で油田を人質
に、というカダフィの姿勢を見て、万が一実際に油田爆撃があった場合に、このまま
では原油価格の急騰は避けられないという危機感の現れだと思います。ロシアは石油
輸出国で実は原油高騰にはメリットもあるのですが、大統領選を控えた中で「国際社
会への道義的な貢献」を見せる必要があったと見るべきでしょう。スーザン・ライス
米国連大使の根回しも相当なものだったようです。

 問題はこの「NFZ」です。どうして2月の時点ではペンタゴンは消極的だったの
かというと、「リビア上空は飛行禁止」という宣言は「制空権」を取らないと「全く
の空疎な文言」になってしまうからです。そして制空権を取るというのは、相手の航
空兵力を打倒するか、あるいはジッと構えておいて「違反したら即撃墜」とすること
になるわけで、即戦争を意味するからです。

 では、どうやってこの「NFZ実施イコール即戦争」という抵抗感を乗り越えたの
かというと、三つ目の要素になりますが、米国が正面に立つのではなくフランス、英
国、そして有志連合としてアメリカという形で、米国が全面的に責任とコストを負う
のでは「ない」スキームができたからです。フランスのサルコジ大統領は、来年20
12年に二期目の選挙を控えています。ここで国際社会における存在感を見せるとい
うことは政治的に十分なメリットがあるわけです。

 オバマとしても、議会や共和党から「財政再建はどうした?」と言われてもフラン
スが先頭に立ったのを黙って見過ごすわけにはいかないわけで、国民に理解を訴える
演説を行って有志連合に加わっています。その方法ですが、「宣言して様子をみる」
曖昧な姿勢、あるいは「航空兵力を打倒する」といった乱暴な手法ではなく、「カダ
フィ側のレーダー施設やミサイル施設、滑走路など航空インフラの破壊」という教科
書通りの手法が取られました。

 フランスを先頭に立たせた背景には、もう一つ「アメリカがアラブでの戦闘の先頭
に立たない」方が得策という計算があります。アラブで何かに関与すれば、アルカイ
ダ的なグループが怒ってテロ活動を活発化するのが怖いということ、あるいはその危
険を増大させたとして国内保守派から攻撃されることなど、政治的な理由が大きいと
思います。英国のキャメロン政権も、ブレア政権の「ブッシュの戦争」へのコミット
に反対する世論に乗った政権ですから、アメリカ主導よりフランス主導のほうが同調
しやすいということもあります。

 ちなみに、この件ではヒラリー・クリント国務長官が相当に周到な工作をしたよう
です。攻撃開始時点で彼女はまだパリにいました。そして実際の攻撃も、戦闘機は仏
軍と英軍のみ、米国は英国と一緒に艦船から発射の巡航ミサイル攻撃を担当するとい
う布陣をとっています。水面下で周到な準備がされていたのだと思いますが、恐らく
は相当な効果があったのではないかと思われます。以降は、陸上戦闘に移行するので
はなく、この空爆の効果を見極めつつ、カダフィ政権の自壊を待つことになるのでは
と思います。

 というわけで、現時点では「国民と石油を人質に取った凶悪犯の武器だけを破壊に
成功」という理解が基本だと思います。当面はボールはカダフィの方に投げられた形
です。ですから、震災の復興にあたり、東日本に展開している米軍に対して「新たに
戦争を始めた血塗られた軍隊」というイメージを持つことも、震災で人命の尊さが改
めて問題になっている一方で、壮大な人殺しが始まったという印象を持つことは、現
時点では必要のないことだと思います。

 では、善玉の仏英米軍がこのまま悪漢カダフィを追い詰めるのを安心して見ていて
良いのでしょうか? そう簡単ではありません。一つは、カダフィは本当に何でもや
る危険があるということです。つまり仏英米軍に「地上戦闘の覚悟なし」と見透かし
て、地上で残虐なことをやるという危険です。その場合については、全く予断を許し
ません。一方で、カダフィ側では国連決議を受け入れて停戦に応じようとした矢先の
攻撃だと主張、舌戦の方も複雑化しています。

 もう一つは、「民衆革命」の問題はリビアだけではないという点です。現時点で親
米政権のバーレーンとイエメンが「流血の弾圧」を続けており、リビアとは別の展開
となっています。別というのは、特にイエメンの場合は政権側が「親米・反アルカイ
ダ」であることが批判の理由であり、アメリカとして革命側を100%支持できない
こと、バーレーンも万が一湾岸ドミノなどが発生してサウジが動揺すると大変なこと
になるからです。

 ですからオバマとしてはエジプトやリビアの「善なる民衆革命」を支持しつつ、後
は沈静化をというやや虫のいいことを考えているわけで予断を許しません。一方で、
ここのところ人気凋落の甚だしいペイリンは、イスラエルを訪問してネタニヤフ首相
と会談して、米国とイスラエルの結束をアピール、暗に「オバマの民衆革命支持は米
国益に反する」というメッセージを出しているのです。
そのような複雑な連立方程式の中での今回の空爆ですが、大きな背景はやはり「福
島原発の事故によるエネルギー論争の中で油田爆撃を匂わせたカダフィ」を国際社会
が許さなかったということだと思います。その点では、日本の情勢は世界情勢と密接
に関連していることは否定できません。
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冷泉彰彦(れいぜい・あきひこ)

19-2
JMMより
中空麻奈 :BNPパリバ証券クレジット調査部長
。。。。。。。

 そこで、今度は原子力発電の対策費としてどの程度かかるのかを検討することにし
ます。原子力発電はもはや撤退できるものではありませんので(首都圏における毎日
の通勤・通学や計画停電による国民への影響を考えれば既に原子力による電力量の確
保が大命題であることは言うまでもありません)、ここはもとの水準に戻すことを前
提とします。

 現在、福島第一、第二の10基の原子炉すべての原子炉が問題になっているわけでは
ありません。しかし、1号機、3号機の問題で済まずに、今度は4号機、次は5、6号
機の問題と広がりを見せてしまったがゆえ、世界中から原子炉に向けた関心が高まっ
てしまったこともまた事実です。そこで、最悪シナリオとして、10基すべてについて
廃炉とした上で、新規投資がかかるということを考えたいと思います。R&Iの電力
セクターレポートを紐解くと、これらの原子炉一基に対する廃棄処分額は1000億円、
新設投資が3000億円、とあります。よって、一基あたり4000億円程度必要ということ
になると、単純計算で4兆円必要となります。もちろん、原子炉が簡単に建設できる
わけでもない上、新たな原子炉から発電ができるようになるまでの間を火力やその他
エネルギーによる発電で埋めなければならないとなれば、その分コストがかかること
になるのは言うまでもありません。もっとも、現状は、内部の温度上昇を防ぐための
放水をしている段階ですが、これだってコストがかかっていることは間違いありませ
ん。そうしたコストをすべて含めて国の予算として計上するとすれば、少なくとも5
兆円程度は要するのではないでしょうか。また、もともと安全設計だと言われていた
日本の原子炉で事故が生じたことにより、更なる安全設計を求められるようになると
考えられますので、追加の投資(研究開発投資も含めれば更に過大になりますが)も
要求される可能性は大きいと思います。
こうした原子炉関連で、ひとまず5兆円を原子力関連として考え、20兆円から22兆
円といった被害額相当に上乗せすれば、25兆円から27兆円が必要になる資金というこ
とになるのではないでしょうか。大変な金額ではあります。