地震 20 (4.11    20:00  ) 

羽鳥@幸区 川崎です。
( 配布不要の方はご連絡をください。->yutaka@hatori.or.jp )

過去記事はこちら 
http://hatori.or.jp/chosaku_0310/1001_/touhokujishin_1103/touhokujishin_top.html

 

INDEX
1.チラージンその後
2.災害医療活動
3.放射線の知識
4.福島原発関連

1.チラージンその後の動き、

サンド株式会社によるレボチロキシンナトリウム錠50μgの緊急輸入が
始まりました。
第1便860,800錠は、国内向けのラベル貼付等の作業を経て、
「レボチロキシンNa錠50μg「サンド」(緊急輸入品)」として、
4月6日にあすか製薬に出荷されました。
4月8日にあすか製薬からの出荷が開始される予定です。
詳細はリンクの文書をご覧下さい。
http://www.japanthyroid.jp/img/info/lt4-4.pdf
実物の写真も掲載されています。25錠で1シートになっています。

サンド(緊急輸入品)やや粒が大きくなる、賦形剤がことなる、使用期限が15
ヶ月、1シートが25錠
あすかの今残っている原末からの製品化が、4月末から、但し、50μg のもの
のみ。1ラインのみ稼働。
小児用は、以前と同じように、錠剤をすりつぶしてください。
あすかが、フルに製品を作れるのは5月末頃。
5月末ぐらいまでは、短期処方のお願い。

チラージンはまにあいましたね。

1-2
中外のリボトリールも、、、
福島県鏡石町の東北ニプロ工場が震災を受けて中外製薬が委託製作している リ
ボトリールの生産がストップしています。5月上旬をめどに復旧作業中で、とり
あえず、地域偏在をなくすよう調整中だそうです。処方期間の短縮や精神安定剤
として用いるときには他剤への代替に御協力ください 
マドパー配合錠も、田辺三菱足利工場の被災で出荷ができなくなりそうです。
アルサルミン、シグマート、ピドキサール、レスプレン などまだまだ、、、

1-3
塩野義の震災の影響ですが、
フルイトラン1mgのみ、東北ニプロ製薬株式会社へ製造委託しており
上記工場が被災により稼動できなくなっております。
フルイトラン1mg500錠包装の4月中旬以降の安定供給が難しいとのことですが、
100錠包装は今のところはまだ数ヶ月分は在庫はあるとのことでございます。
2mgは全く影響がございませんので、 今後1mgの供給が難しくなれば2mgを半錠
にしていただくことになるかと思います。
岩手県金ヶ崎工場が震災の影響を受けて壊滅的なダメージを受けたとの報道により
そこで製造されているフロモックス・オキノーム・フィニバックス等の安定供給
が難しくなるとの推測から色々な情報が流れましたが、添付の5日発のお知らせ
のように11日以降生産再開して安定供給可能となった。

1-4
秋山先生の災害ポータルサイト
http://pari.u-tokyo.ac.jp/earthquake/plan_healthcare.html

2.災害医療
2-1
石川県小森会長の活動報告
他の医療系MLへ小森会長@石川県医師会が活動報告をされまし
たので、ちとpdfにしてこちらにも転載許可をお願いした処、
即、ご快諾戴きました。

1)石川県医師会JMAT報告(第一報):
http://www.cminc.ne.jp/renkei/komori110403a.pdf
2)石川県医師会JMAT報告(第二報):
http://www.cminc.ne.jp/renkei/komori110404a.pdf

小森会長は現在、相馬市で活動中の為、石川県医師会HPには、ま
だ未掲載であり、後2日間の活動と写真を加えて同HPに掲載予
定、とのことです。

2-2
AMDA本部からの情報を転送させていただきます。
大和市医師会 小林米幸

> ■□□□ AMDAメールマガジン ─  救える命があればどこへでも
> 2011年4月7日■□□□
>
> *AMDA速報-東日本大震災・緊急支援活動14
> ━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━・━━━
>
> 【 被災地からの活動報告 岩手県 】
> 避難所での診療、巡回診療を継続しており、報告される主な症状とし
> ては高血圧、糖尿病などの慢性疾患や、風邪、花粉症、胃腸炎、破傷
> 風など。また長引く避難所生活を、少しでも暮らしやすいものにした
> いとの配慮から、簡易のパーテーション(協力:坂茂建築設計)を体
> 育館内に設置して、家族同士のプライバシーの確保をできるようにし
> た。また、エコノミー症候群や寝たきりになることを防止するため、
> トレーニングマシン・パワープレート(協力:株式会社プロティア・
> ジャパン)を導入した。一日50人近くの方が利用しているという。
>
> 【 被災地からの活動報告 宮城県南三陸町 】
> AMDAが医療活動を行っている南三陸町の志津川小学校では、250人
> ほどいた避難者が200人ほどに減少している。電気が使えなかった避
> 難所ではジェネレーターが2台届き、ひとつの教室で電気が使えるよ
> うになった。さらにノロウィルスの患者を隔離している部屋で電気が
> 使えるように準備している。避難所では、パニック症候群の避難者の
> 方も見受けられ、精神的なケアを継続する必要性があり、AMDAで
> は4月4日の第十九次派遣で精神科医師1人、看護師1人を追加派遣し
> た。ノロウィルス対策の強化もおこなっており、漂白剤などの物資を
> 届けることを決定した。
> 【 おしらせ 】
> 震災発生からもうすぐ1か月が過ぎようとしている。避難所や被災地
> で暮らす人々、特に高齢者は、長引く避難所での生活で、心身ともに
> 疲労が見られる。それを受けて、AMDAでは「魂をゆさぶる『歌の
> 処方箋』プログラム」を実施することを決定した。具体的には、高齢
> 者が多い被災地避難所に演歌歌手を派遣し、歌で被災者の 派遣する
> 歌手を現在募集中。日本の戦後の復興を支えてきた高齢者の方々の琴
> 線に触れる曲目「誰か故郷を思わざる」「リンゴの唄」を歌うことを
> 必須条件としている。謝礼交通費のみ。応募問い合わせはAMDAボ
> ランティアセンターまで。
>

 

2-3
3月31日から 南三陸の後方病院 登米市立米谷病院で支援をしている先生から。
4月2日は当直明けで時間がありましたので、同じく支援プロジェクトの先生方(南三陸の後方病院として登米市立豊里病院、津山診療所で支援されておられた先生方)と一緒に、南三陸をみてまわりました。
インフラについて
水:なし。配給
電気:なし。
電信柱が急速にたっているが、今まで変電所が沿岸部にあり破壊されているため、山の手から順々にひいてくるらしい。もう少し時間がかかる。
ガス:なし。もともと天然ガス(沿岸部)のため、これも時間がかかりそう。
通信:携帯はDocomoが通じやすいが、山間部に入ると通じなくなる。
ネットはイーモバイル(WIFI)が通じやすいが、速度は遅い。

さて イスラエル医療団について以下のようなコメントを私が残しました。

以上のような状況下、イスラエル医療団が入り、こちらの要望は伝えたものの今週火曜日にはあっという間にプレハブがたち、ミニクリニックが立ちました。
外科(小外科可能)、産婦人科(分娩可能)、小児科(分娩後の新生児救急も対応)、耳鼻科、眼科、皮膚科、放射線科、内科、看護師、通訳 総勢70名
それぞれの科で一つのプレハブを持ち、まるで小病院です。
イスラエル医療団は多くの住民を見たいということでしたが、現在ではその時期を過ぎており、かえって活動することで混乱を招き土地柄住民の恐怖心あおる可能性もあり、あく
まで日本人ベースに診療し、検査を中心にご協力いただくことになりました。巡回バスなどをだして検査ができない方々を拾い上げるといった活動にしていただく方向になってい
ます(現在活動内容のすりあわせ 進行中)

→→4月2日新たな事実判明 (知っている人は知っているのだと思いますが)
本日イスラエル医療施設 見学
3月11日(金曜日)の地震後、3月13日(日曜日)には日本の海上で待機していたとのこと。
外務省などでの入港手続きに2週間かかり、日本に入れたのが3月27日(月曜日)だったと。
尚、イスラエル医療部隊は、現地につけば、6時間以内に上記設備を完備し、診療を始める訓練を受けていること、ハイチ地震では2-3日後から、現地で治療を開始し1100
人を診療した。
対応してくださったイスラエル人の医師は「日本の文化を理解しようとしている、良い悪いではなく文化なのだ」と大人の対応をしてくださいました。

今回、震災直後3日間、南三陸で活動していた医師がたった一人であったことを考えると、何ともいえない気持ちです。

私が言うところではないのですが、日本での災害時の他国の受け入れについて行政のしくみ、また日本の中であっても、行政を含めた迅速な統制のとれた支援については もう少し議論されるべきところと思いました。
(このたびの支援については、イスラエルの方のみならず、日本の先生方の中には 行政的なしがらみで、被災地で本当に必要な時期に統制のとれた支援ができず、複雑な思いをされたのも事実かと思います)

以上、報告&雑感でした。

3.放射線の知識
3-1 NPO 日本の将来を考える会 プラントパラメーター

http://ioj-japan.com/xoops/download/fukushima_unit1.pdf

3-2
丸善さんも販売書籍を一部、PDF形式で無料公開
地震・津波、放射線、心理学分野の書籍・本文無償公開   丸善出版株式会社
http://pub.maruzen.co.jp/index/kokai/
無料公開された本
◆身近な放射線の知識
放射線医学総合研究所 編
佐々木 康人 著

知っていますか?医療と放射線 放射線の基礎から最先端の重粒子線治療まで
放射線医学総合研究所 編
高橋 千太郎・辻井 博彦・米倉 義晴 著

ストレス百科事典
George Fink(チーフエディター)
ストレス百科事典翻訳刊行委員会 編  日本ストレス学会 編集協力
原書:Encyclopedia of Stress, 2nd Edition (Elsevier)

応用心理学事典
日本応用心理学会 編

ACP内科医のための「こころの診かた」ここから始める!あなたの心療
Robert K.Schneider,MD・James L.Levenson,MD 著
井出 広幸・内藤 宏 監訳  PIPC研究会 訳
原書:Psychiatry Essentials for Primary Care (American College of Physicians)

◆理科年表 平成23年版
国立天文台 編

◆月刊物理科学雑誌「パリティ」
編集長 大槻義彦

今後、公開タイトルは準備が出来次第、順次追加いたします。

3-2 これは産業医大の授業 わかりやすい解説です。
放射線の生体影響の専門家の情報です。産業医科大学放射線衛生学講座「一般向
け緊急被曝ガイド」
http://www.uoeh-u.ac.jp/kouza/hosyaeis/hibakuguide.pdf

 

4.
4-1
2万人、集団避難へ 福島・南相馬など、政府が検討
東日本大震災:福島第1原発事故 
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110406ddm012040092000c.html
毎日新聞 4月6日
◇受け入れ先県外も
政府は5日、東京電力福島第1原発事故で屋内退避指示を出している20~30キロ
圏内に市域の大半が入る福島県南相馬市の住民約1万8000人について、一両日中に
集団避難計画をまとめることを発表した。避難先は県内だけでなく、山形、新潟、栃木
、群馬県も検討している。屋内退避区域では物資の流通が滞るなどしており、政府は避
難指示区域を現在の20キロ圏内から拡大するための調整を本格化させた。
原子力被災者生活支援チームの第2回会合が5日、首相官邸で開かれ、松下忠洋副経
済産業相が、集団避難の受け入れ先を確保する調整を進めていることを報告した。
政府は屋内退避区域の市町村に自主避難を要請しているが、南相馬市以外の8市町村
にも約2000人が残っているという。松下氏は会合後「南相馬市長の意見を聞きなが
ら、受け入れ先をしっかりマッチング(適合)させることが大事だ」と記者団に語った
ただ、政府は集団避難の実施時期を明らかにしていない。枝野幸男官房長官は会見で
「事態が悪化した場合に備えて、オペレーションを事前に想定しておく」と述べた上で
「退避エリアについて、科学分析が進んでいる。それを踏まえて判断していく」と述べ
た。
政府は累積被ばく量のモニタリングや「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシス
テム」(SPEEDI)による放射性物質の拡散シミュレーションなどを材料に判断す
る構え。【影山哲也】

 

4-2
■このままでは「第3次災害」

 「日本政府にいまだに非常事態の認識がないのは、どういうわけか」と旧知の米国要人から言われた。いきさつを聞いたら以下のようなお粗末さだ。

 3月11日午後3時40分、東日本大震災発生約1時間後、ルース駐日大使は首相官邸に電話し、全面支援意思を伝えた。官邸からは音沙汰なし。24時間後、米政府は米軍の出動を正式に申し入れたが、官邸も東京電力も自分たちの手で収拾できるという感触だった。

 ◆認識の欠如と迷走

 在日米軍は福島原発専用の非常時対応ハンドブックを作成済みだ。本来はテロ攻撃時用で、放射能汚染に耐えられる戦車配備の仕方や、福島原発海域に入る軍船の喫水線など、具体的で細かい基準を盛り込んでいるという。原発が今回のように地震と津波で大きく損傷を受けた場合も、初期対応マニュアルがそのまま生かせるはずだったが、政府も東電も無視した。

 東日本大震災は1次的には自然災害で、2次的には無能なリーダーによる人的災害なのだが、第3次も起きかけている。政策災害である。起因は福島原発対応と同じく、「非常事態」という認識の欠如である。菅直人首相、谷垣禎一自民党総裁、日本経団連の首脳は平時の感覚でしか復興政策を考えないように思える。産経新聞3月31日付朝刊によれば、L・サマーズ前米国家経済会議委員長は「日本は貧しくなるでしょう」と言い放ったが、長年対日経済交渉に携わった同氏は日本迷走を見抜いているのだろう。

不毛論議の最たる例が、「復興増税」構想である。増税して復興財源に充当するという案で、菅、谷垣両氏に加え、経団連の米倉弘昌会長も言い出す始末である。平時で経済が順調に拡大しているならともかく、今は消費も投資も急激に落ち込む非常時である。そうでなくても細り続けている家計簿に残る収入や、生産設備が破壊された企業の落ち込む収益から税を徴収するなら、消費者は液晶テレビや新車を買い控える。売り上げ減で企業は工場を閉鎖し、雇用を減らす。すぐに増税しなくても、いずれ増税になると予期するなら同じことが起きる。すると税収は逆に減り、財政赤字はさらに膨れ上がる。

 すでに、東京・銀座のデパートでは食品売り場以外は閑古鳥が鳴き、下町によくある「○○銀座」商店街も人通りが半減した。一時的なショックで済めばよいが、停滞が長期化するほど、消費者心理は冷えに冷え、企業経営者からは立ち直るだけの気力も体力も尽き果てる。就職機会のない若者は未来を見失う。

 ◆大規模な財政出動を

 どうすればよいか。福島原発安定処理のメドが立たない中で放射能汚染の恐怖がおさまらないうえに、計画停電の長期化が確実な状況で、やれ元気を出せ、買い物や外での飲み食いに出かけろ、増産せよと鼓舞したところでうまくいくはずはない。ためらい悩む民間に代わって政府が投資や消費のための財政支出を増やすしかない。未曽有の非常時だという認識のもとに思い切った規模で財政出動するしかないが、菅政権は財務官僚まかせだ。

 政府は「財源の制約」を理由に、2011年度第1次補正で2兆円程度、2次、3次と補正を重ねても結局10兆円の財政出動を見込む程度である。被害規模は内閣府が最大で25兆円と見積もったが、企業設備の被害や福島原発による被害や原発の廃炉や修復コストを考慮すれば、その2倍、3倍も覚悟しなければならないだろう。

 もとより国内ではだれも引き取ろうとしない使用済み核燃料である。それらを耐震性に疑問がある原発建屋の上部のスペースにプールを設置し保管しなければならない。福島第1原発事故は地震国日本の弱点をさらけ出した。全国レベルで電力エネルギー体系の抜本的再編を含め、日本列島再生のためグランド・デザインを構想し、実行に移すしかない。財源自体は問題ではない。そのことは本講座3月27日付の「『日本大復興』の条件を考える」で、世界最大の債権国日本は100兆円規模の日銀資金を創出できるゆとりがある、と指摘した通りだ。財政出動の効果はてきめんで、1995年1月の阪神大震災時には財政支出が呼び水となって被災地兵庫県の県内総生産は実質で5%増と全国の同1・9%をはるかに凌駕(りょうが)した。

 米ゴールドマン・サックス調査部は阪神大震災や米ハリケーン・カトリーナなど「世界5大災害」後の復興を分析した結果、政府支出の拡大が早期の経済の回復をもたらすと結論付けた。日本が重大な決意で大規模な財政出動に迅速に踏み切るかどうか、国際金融市場も重大な関心を寄せている

4-3
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110330-00000301-sasahi-pol

週刊朝日 3月30日(水)17時56分配信

■佐藤栄佐久・前福島県知事が告発 「国民を欺いた国の責任をただせ」

福島第一原子力発電所の事故は周辺の土壌や海水からも大量の放射能が検出され、世界
を震撼させる事態となっている。原発の安全性に疑問を持ち、一時は東京電力の原子炉
17基をすべて運転停止に追い込んだこともある佐藤栄佐久・前福島県知事(71)は
こう憤る。「諸悪の根源」は経済産業省であり国だ──。

● 今回の事故の報道を見るたびに、怒りがこみ上げてきます。一部の識者は「想定外
の事態だ。これは天災だ」というような発言をしていましたが、だまされてはいけませ
ん。これは、起こるべくして起こった事故、すなわち“人災”なのです。
私は福島県知事時代、再三にわたって情報を改ざん・隠蔽する東電と、本来はそれを
監視・指導しなければならない立場にありながら一体となっていた経済産業省に対し、
「事故情報を含む透明性の確保」と「原発立地県の権限確保」を求めて闘ってきました
。しかし、報道を見る限り、その体質は今もまったく変わっていないように思います。

 端然とした表情で語る佐藤氏の自宅は福島県郡山市内にある。地震から2週間以上経
過した今も石塀は倒れたままになっているなど、爪痕が生々しく残る。もともとは原発
推進論者だったという佐藤氏が日本の原子力政策に疑問を抱き始めたのは、知事に就任
した翌年の1989年のことだった。
この年の1月6日、福島第二原発の3号機で原子炉の再循環ポンプ内に部品が脱落す
るという事故が起きていたことが発覚しました。しかし、東電は前年暮れから、異常発
生を知らせる警報が鳴っていたにもかかわらず運転を続けていたうえに、その事実を隠
していました。県や地元市町村に情報が入ったのはいちばん最後だったのです。
いち早く情報が必要なのは地元のはずなのに、なぜこのようなことがまかり通るのか
。私は副知事を通じ、経産省(当時は通商産業省)に猛抗議をしましたが、まったく反
応しませんでした。

 ●日本の原子力政策は、大多数の国会議員には触れることのできない内閣の専権事項
となっています。担当大臣すら実質的には役所にコントロールされている。つまり、経
産省や内閣府の原子力委員会など“原子力村の人々”が政策の方向性を事実上すべて決
め、政治家だけではなく原発を抱える地方自治体には何の権限も与えられていないので
す。

 

 ●国や電力会社は原発に関して、地元自治体を「蚊帳の外」にしただけではないとい
う。佐藤氏が「8・29」と呼ぶ事件がある。2002年8月29日、原子力安全・保
安院から福島県庁に「福島第一原発と第二原発で、原子炉の故障やひび割れを隠すため
、東電が点検記録を長年にわたってごまかしていた」という恐るべき内容が書かれた内
部告発のファクスが届いたのだ。

 私はすぐに、部下に調査を命じました。だが、後になって、保安院がこの告発を2年
も前に受けていながら何の調査もしなかったうえに、告発の内容を当事者である東電に
横流ししていたことがわかったのです。

 

● 私の怒りは頂点に達しました。これでは警察と泥棒が一緒にいるようなものではな
いか。それまで、東電と国は「同じ穴のムジナ」だと思っていましたが、本当の「ムジ
ナ」は電力会社の奥に隠れて、決して表に出てこない経産省であり、国だったのです。

 

 この事件で、東電は当時の社長以下、幹部5人が責任をとって辞任し、03年4月に
は、東電が持つすべての原子炉(福島県内10基、新潟県内7基)で運転の停止を余儀
なくされました。
しかし、保安院、経産省ともに何の処分も受けず、責任をとることもありませんでし
た。

 それどころか、福島第一原発の所在地である双葉郡に経産省の課長がやってきて、「
原発は絶対安全です」というパンフレットを全戸に配り、原発の安全性を訴えたのです
。なんという厚顔さでしょうか。

 今回の事故でも、記者会見に出て頭を下げるのは東電や、事情がよくわかっていない
ように見える保安院の審議官だけ。あれほど、「安全だ」と原発を推進してきた“本丸
”は、またも顔を出さずに逃げ回っています。

 さらに、佐藤氏は3月14日に水素爆発を起こした福島第一原発3号機で、「プルサ
ーマル」が行われていたことに対し、大きな危機感を持っているという。
なぜメディアはこの問題を大きく報じないのでしょうか。「プルサーマル」とは、使
用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う原子力発電
の方法で、ウラン資源を輸入に頼る日本にとって、核燃料サイクル計画の柱となってい
ます。
これに対して私は98年、MOX燃料の品質管理の徹底をはじめ四つの条件をつけて
一度は了解しました。
しかし、判断を変え、3年後に受け入れ拒否を表明することになりました。

 福島第一とともにプルサーマルの導入が決まっていた福井県の高浜原発で、使用予定
のMOX燃料にデータ改ざんがあったと明らかになったからです。

● そして、核燃料サイクル計画には大きな欠陥があります。青森県六ケ所村にある使
用済み燃料の再処理工場は、これまでに故障と完成延期を繰り返しており、本格運転の
メドがたっていません。この工場が操業しない限り、福島は行き場のない使用済み燃料
を原子炉内のプールに抱えたままになってしまう。今回の事故でも、3号機でプールが
損傷した疑いがあります。これからも、この危険が残り続けるのです。

 昨年8月、佐藤雄平・現福島県知事はプルサーマルの受け入れを表明し、30日には
県議会もこの判断を尊重するとの見解をまとめました。このニュースは県内でも大きく
報じられましたが、その直後、まるで見計らったかのように、六ケ所村の再処理工場が
2年間という長期にわたる18回目の完成延期を表明したことは、どれだけ知られてい
るでしょうか。

 福島第一原発の事故で、首都圏は計画停電を強いられる事態となっています。石原慎
太郎・東京都知事は00年4月、日本原子力産業会議の年次大会で、「東京湾に原発を
つくってもらっても構わない」と発言しましたが、この事態を見ても、同じことを言う
のでしょうか。

● 私は06年に県発注のダム工事をめぐり、収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕され
ました。控訴審では「収賄額はゼロ」という不思議な判決が出され、現在も冤罪を訴え
て闘っている最中です。その経験から言うと、特捜部と原子力村の人々は非常に似てい
ます。特捜部は、自らのつくった事件の構図をメディアにリークすることで、私が犯罪
者であるという印象を世の中に与え続けました。

 

 今回の事故も重要な情報を隠蔽、管理することで国民を欺いてきたと言えるでしょう
。今こそ国の責任をただすべきときです。 (構成 本誌・大貫聡子)

さとう・えいさく 1939年、福島県郡山市生まれ。東京大学法学部卒業後、88年
に福島県知事に初当選。06年、収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。09年、一
審に続き、控訴審でも懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決が出されたが、「収賄額は
ゼロ」と認定され、実質上の無罪判決となった。現在、上告中。著書に『知事抹殺』(
平凡社)がある

 

 

5.
青森本田先生より
原発事故 津波対策間に合わず 東電、保安院手順で耐震優先
産経新聞2011年4月4日(月)08:00
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20110404093.html
■防護壁増設の東海第2と明暗
東京電力福島第1原子力発電所事故で、東電は平成21年から津波による被
害の再評価を進めていながら、結果的に3月11日の震災に間に合わなかった。
18年に国の耐震指針が改定されたのを受け、揺れに対する設備の耐震性の評
価と対策を先に進め、津波対策は後回しになっていたためだ。同原発1~4号
機は、約14メートルの津波で非常用発電機が水没しすべて使えなくなり、冷
却機能が失われ、深刻な危機を招いた。

 一方、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県東海村)では、再評価と同時
に冷却用設備に防護壁を設置するなどの対策を行い、冷却機能の喪失を免れ、
明暗を分けた。関係者からは「タイミング的に残念な結果になった」(経済産
業省原子力安全・保安院)と悔いる声が出ている。

 国の原子力安全委員会は、12年10月に起きた鳥取県西部地震の揺れが従
来の耐震性の想定を超えたため、18年9月に「耐震設計審査指針」を改定し、
耐震基準を強化。津波についても「極めてまれだが発生する可能性があると想
定される」レベルに備えるよう定めた。

 改定に基づく保安院の指示を受け、東電も含む電力各社はすべての原発の安
全性の再評価に着手。ただ、保安院の審査は、施設の耐震性の評価・対策を先
に行い、その後に津波対策を講じる手順になった。

 しかも東電は19年7月に起きた新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が、設計
想定を上回る揺れに見舞われ、建屋の破損などで運転停止に追い込まれた。こ
のため、同地震の揺れを考慮した耐震強化を行い、21年にようやく保安院か
らの了承を得て、その後に津波被害の再評価に入っていた。

 福島第1原発は建設当時、昭和35年のチリ地震による津波を考慮し、3・
1メートルの津波を想定。さらに土木学会が14年に出した指針に基づき、最
大5・7メートルに引き上げた。ただ、冷却用の海水を循環させるポンプなど
が「ほぼむき出しの状態」(東電)で設置されるなど、津波に対する防備の甘
さを指摘する声があったが、審査の長期化もあり、震災まで対策がとられるこ
とはなかった。

 これに対し、東海第2原発では、再評価と同時に茨城県が19年10月に出
した「津波浸水想定」に基づき対策を実施。冷却用海水ポンプを守るため、従
来あった3・3メートルの防護壁に加え、昨年9月に取り囲むように側面にも
2・8メートルの壁を設けた。同原発に押し寄せた津波は5メートルと福島第
1の半分以下だったこともあるが、ポンプや電源は一部浸水しただけで、冷却
を継続できた。

 同社では「厳しい基準に合わせ、先に対策を取ったことが功を奏した」と話
している。

電源喪失、認識の甘さ陳謝 保安院・安全委トップら
http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060520.html
2011年4月7日0時25分
東京電力福島第一原子力発電所で深刻なトラブルを招いた、非常用を含めた
電源喪失事故。経済産業省原子力安全・保安院や原子力安全委員会のトップら
が、6日の衆院経済産業委員会で、電源喪失を「想定外」としていた過去の認
識について陳謝した。

 この日、これまでに原発問題を国会で追及してきた吉井英勝衆院議員(共産)
が質問。原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は昨年5月の同委で、電源喪失は
「あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計はしている」と発言していた
が、この日は「当時の認識について甘さがあったことは深く反省をしている」
と述べた。

 これまでの法廷証言などで電源喪失の可能性を否定してきた班目春樹・原子
力安全委員長は「事故を深く反省し、二度とこのようなことが起こらないよう
にしたい」と答えた。

 また、過去に同様の見解を示してきた前原子力安全委員長(現・日本原子力
研究開発機構理事長)の鈴木篤之氏も「国民の皆様に大変申し訳ないと思って
いる。痛恨の極み」。電源喪失の事態に備えてこなかったことは「正しくなか
った」とした。(野口陽)

福島第一、安全設計で第二と違い 電源喪失巡り東電指摘
http://www.asahi.com/national/update/0405/TKY201104050625.html
福島第一の揺れ、耐震設計の想定超える 2・3・5号機
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104010552.html

原発20キロ圏、立ち入り禁止検討 一時帰宅容認も
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104070209.html
枝野官房長官の会見全文〈午前11時〉
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104070213.html
【避難地域の拡大】

 ――原子力安全委員会が避難指示を出す際の基準について、現在の指針など
の放射線よりも低い水準でも避難するようにとの見解を示したが、避難指示を
拡大することは。

 「報道があったので、原子力安全委員会に確認したが、原子力安全委員会と
しての助言を政府に対して正式に行ったものではない。私もそう聞いていない
ので、報道を見て確認した。ただ、様々な検討を進める上で、原子力安全委員
会の考え方、非公式な見解は聞かせてもらいながら、検討している。昨日もこ
こで私から報告したが、現在の避難の基準は50ミリシーベルトを超える可能
性がある場合は避難をして下さいと、10ミリシーベルトを超える可能性があ
る場合は屋内退避をして下さいと言った。こういう基準に基づいて、20キロ、
30キロのそれぞれの避難と屋内退避をお願いしている。これは一時的に、短
い時間に大量の放射性物質が出る事故を想定して設けられたもので、長期にわ
たって必ずしも、50とかに比べれば大きくない値だけども、それが累積して
いく場合の影響についての基準ではないので、当然いま累積の数値が高くなっ
てきているところがあるので、そうした地域をどうするかについて、政府とし
て、原子力安全・保安院としての検討を進めるとともに、原子力安全委員会に
対しても、そうしたことを検討しているということを前提に、安全委員会とし
ても検討をしている。そうした中では、国際原子力機関(IAEA)や国際放
射線防護委員会(ICRP)の国際機関においてどういう考え方をしているの
か、ということについての報告は頂いているので、当然そうしたことを参考に
しながら、原子力安全・保安院としての考え方が整理されれば、原子力安全委
員会にも、それで適切かどうか助言を求めることになる」

2・3号機も窒素ガス注入へ 汚染水放出も続く
http://www.asahi.com/national/update/0407/TKY201104070093.html

千葉県産の魚にも値つかず 農水省、風評被害排除へ通知
朝日新聞2011年4月7日(木)05:02
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/K2011040605720.html?fr=rk