下 痢
佐々木記
下痢とは便が固有の形状を失い、水様または泥状となり、その回数が異常に多い
状態です。下痢は腸管内の有害物を排除する防御的生理現象であり、多くは病気にともな
って現れます。
下痢の発生は腸内の水分が増加し、腸の動きが異常にたかまり、腸の吸収作用が
減退することにより生じます。
下痢には急性と慢性があり、急性は感染症(サルモネラ、ビブリオ腸炎、コレラ、赤痢等)によることが多く、ついで暴飲暴食、寒冷、ストレス等です。
慢性は小腸、大腸疾患によるものが多いです。
食中毒や伝染病の場合は緊急を要し、また長引くと全身の状態が不良となりますので、早めに受診し治療を受けることが大切です。
(症状)発熱、腹痛(しぶり腹)、吐き気、嘔吐、全身がだるい、便の回数が頻回、粘血便、タ−ル便、急激な脱力感、血圧の低下
(生活上の注意)
1) 下痢が頻回で症状が激しい場合は絶食にし、受診して点滴(輸液)を受けることが大切です。(脱水および電解質の乱れを調整するために)
また、水分(湯ざまし、番茶、スポ−ツドリンク等)は少しずつ(なめるように)頻回に補給することが大切です。
2)食事について
急性の下痢症状:
最初は絶食にし、水分(湯ざまし、番茶、スポ−ツドリンク)は、少しずつ(なめるように)頻回に補給する。
次に症状の改善に合わせて、流動食、粥食と、消化しやすいものを、
最初は少量ずつから始めます。
流動食(おも湯、くず湯)、お粥(全粥、五分粥)、うどん(素うどん)、消化のよい白身の魚(タラ、カレイ等)、豆腐・人参・大根の煮物(生野菜は駄目)、野菜の裏ごし、半熟卵、ス−プ・みそ汁(具なし)、
*ジュ−ス、牛乳などは腸の発酵を増進させるため、避けた方がよい。
慢性の下痢症状:原則として長期にわたる食事制限は好ましくないので、
消化吸収のよい食品を選び、栄養の補給をすることが大切です
3)お腹を冷やさないように腹巻きをし、保温することが大切です。
4)感染症の下痢が疑われる場合は、手指の手洗いを丁寧にすることが大切です。
(薬物療法) 抗生物質:細菌性の下痢
止痢薬:次硝酸ビスマス、タンナルビン、ビオフェルミン
ラクボン、ロペミン
整腸剤:ラックB、ビオフェルミンR
抗菌性止痢薬:フェロベリンA
はとり内科クリニック 2000.10