to top

 

PDFFile

 

 

病気の一口メモ        潰瘍性大腸炎

 

 潰瘍性大腸炎は、大腸(直腸から結腸)の腸管内側の粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する原因不明の慢性炎症性の病気です。クローン病とならんで炎症性の腸の病気です。

炎症は腸の粘膜の浅いところに起こり、比較的広範囲に広がります。大腸以外の消化管にはできないのがクローン病との違いです。

病気が始まるのは20歳代にピークがあり、青壮年に多く、日本では人口10万人当たり

18〜20人位といわれています。

 近年、ストレスや脂肪摂取量の増加など、食生活の変化に伴ない増えつつあります。

症状は下痢や腹痛が最も多く、症状の再燃と緩解(症状の改善)を繰り返しながら慢性への経過をたどります。

最近は薬物治療の進歩によって内科的治療でコントロールできる例も増えています。症状が改善したら、少量の服薬を続ける維持療法で症状が繰り返さないように予防することが治療の目標です。

 

症状と重症度

症 状:下痢、粘血便、腹痛、発熱、頻脈

       ☆合併症:大出血、大腸穿孔(大腸の壁に穴があき破れる)、腹膜炎

中毒性巨大結腸症(炎症のため、腸内の不要物を送りだす運動ができずに麻痺する。)               

            

重症度:軽 症---粘血便が4回/日以下、発熱や貧血などの全身症状を伴なわない。

       中等症---軽症と重症の中間

重 症---粘血便が6回/日以上、

37.5℃以上の発熱、90/分 以上の頻脈、ヘモグロビン10g以下の貧血、30o/h 以上の血沈などの、条件の中で粘血便の他に2項目以上を満たすもの。

治療:〔1〕薬物療法

      軽 症、中等度 下記の 「※ 印」 の項、参照

(1)サラソピリン錠、またはペンタサ錠を服用する。

1〜2週間服用して効果がみられない時は追加となる。

(2)@とA Bを追加。@+Aまたは@+B による治療後、1〜2週間で効果が不十分の場合は、ステロイド薬 C の内服あるいは静脈注射を行なう。

ステロイドの減量に伴なう再燃や慢性持続型には、免疫抑制薬 D       を併用することもある。

(3)       維持療法 ---症状が改善しているときは、 @ あるいは @ + A

コントロールを継続する。

  @ サラソピリン錠、またはペンタサ錠

A リンデロン座薬、またはプレドニン座薬

B 排便後または就寝前にステロネマまたはソルコーテフ

(微温湯を加える)の浣腸

    C プレドニン錠、または水溶性プレドニン注

D イムラン錠(保険適用外)、またはロイケリン(保険適用外)         重 症:入院し絶食とし中心静脈栄養や輸液、ステロイド薬の強力静注療法。       

  〔2〕外科的治療

     内科的治療が不可能な大出血、中毒性巨大結腸症、大腸穿孔、腹膜炎、癌など。

 

<潰瘍性大腸炎>

 

生活上の注意

  食事について

(1)   バランスのとれた食事を、1日3回規則的に、ゆっくりとした気分でとりましょう。

(2)   腹八分目でよく噛みゆっくり食べましょう。(1回に30回程度噛むこと)

(3)   @症状が続いているときは、繊維分の少ない消化のよいものを摂るよ

うにする。 (主食は、軽症:米飯、中等症:お粥、重症:絶食)

アルコール、コーヒー、わさび、こしょうなど香辛料は禁止。

A症状が改善しているときは、ふつうの食事をよく噛んで食べるよう

にする。アルコールは食前酒を少量程度、コーヒーは薄く、わさび

こしょうなど香辛料は控えめにする。

 

潰瘍性大腸炎の禁止した方がよい食品、または避けた方がよい食品

A)禁止食品(乳製品一般)

   牛乳、乳製品(天然バター、ヨーグルト、チーズ、

プリン、ケーキ、カステラ、スキムミルク、生クリーム、ポタージュスープ、アイスクリーム、ヤクルト、カルピス)

B)避けた方がよい食品

@ 繊維の多い野菜・果物:ゴボウ、しいたけ、しそ、

ふき、きくらげ,しょうが、ぜんまい、わらび、

梨、柿,セロリ、たけのこ

A 消化の悪い食品:たこ、いか、海藻類、佃煮

B 脂肪の多い食品:天ぷら、フライ、ベーコン、アボガ