急性冠症候群(acute coronary syndrome)

 

医療法人社団はとりクリニック 羽鳥 裕 

2001/3/14

 本日は、診療でお疲れのところ、わざわざ、開業医の私の話を聞くためにお集まりいただき、ありがとうございます。今座長からお話がございましたように、私は開業して10年を越えており、逆にこのような勉強の機会を与えていただいたことに感謝いたします。

 

急性冠症候群(acute coronary syndrome ACS)とは?

最初に、順天堂大山口教授が、いくつかの 成書 にまとめられたものを引用させていただきます。

虚血性心疾患は増え続けており、心不全の多くも虚血性心疾患に起因するものである。欧米での死因の第1位は虚血性心疾患である。わが国でも食生活の欧米化は進む一方で、虚血性心疾患の増加には当分歯止めがかからないであろう。急性心筋梗塞、不安定狭心症の発生病態はともにplaqueの破綻、血栓形成、内腔閉塞であり、一括してACSとする。ACSとしてまとめて理解することで治療方針を明確にできる。虚血性心疾患は急性虚血、慢性虚血に分けて考えるほうが臨床的である。 虚血性心疾患は重症の急性疾患としても重要で、日常臨床ではますます遭遇する機会が増え、適切な対応を迫られよう。適切な対応を迫られる相手がACSである。 長年慣れ親しんだ虚血性心疾患の病名は狭心症と心筋梗塞である。いつの頃からか狭心症には不安定狭心症と安定狭心症が出現し、心筋梗塞には Q波梗塞、 非Q波梗塞が登場した。「ACS」は、急性冠動脈症候群ともいれ、acute coronary syndromeの訳であり、最近ようやく市民権を獲得しつつある。なぜこの新しい症候群が必要か。答えは、同じ病態であることが明らかになったからであり、一つにまとめて理解するほうが重症と認識しやすいからである。 従来の病名が不要となったわけではない。この言葉が出てきた経緯を理解すれば、多少ACSにも馴染みができよう。もともとは、死亡率の高い急性心筋梗塞を集中的に治療し、救命しようとするところから始まった。

CCU (coronary care unit) が機能し始めると急性心筋梗塞の実態も明らかとなり、心筋梗塞に移行しやすい狭心症を同定して、心筋梗塞への移行を未然に防ぐ目的でもCCUが活用され始めた。

A。 心筋梗塞へ移行しやすい狭心症、これが不安定狭心症である。 狭心症発作はあるが心筋梗塞にはなりにくい狭心症(安定狭心症)。

B。 、心筋梗塞へ移行する狭心症は、発作の程度、回数、起こりやすさ、ニトログリセリンの効きなどの点で、 ある時期を境に急速に増悪していることが明らかとなった(増悪型狭心症)。 

C。 狭心症が新たに出現したかと思うと、一気に急性心筋梗塞までいってしまう狭心症群も明らかとなった。新規発症型の労作狭心症あるいは安静狭心症である。新規発症型の狭心症は、ヘパリンを中心とした集中的薬物治療で比較的容易に心筋梗塞への移行をくい止められる。

D。 不安定狭心症のもう一群は、急性心筋梗塞後の狭心症である(梗塞後狭心症)。急性心筋梗塞後になお狭心症を生ずるということは、壊死を免れた生存心筋が多く、かつ高度の残存狭窄があることを意味する。多くは心電図でQ波は完成しておらず、R波が減高した程度か、陰性丁波の出現にとどまる。非Q波心筋梗塞である。

ここに集中して治療すべき心筋梗塞前駆状態が一応把握されたわけである。急性心筋梗塞の救命率を上げようとする努力、急性期に冠動脈造影を行い、閉塞部位を特定、血行再建を行えばよい、ということになった発症早期の冠動脈造影では、高率に冠動脈の閉塞が認められ、冠動脈バイパス術に持ち込んだ症例は閉塞部に血栓が確認された。急性心筋梗塞の血栓については、閉塞後に二次的にできたものとする考えが一時支配的であったが、発症早期ほど詞塞が高率なことなどから、やはり血栓が一義的なものであることが認められるようになり、血栓溶解療法、再灌流療法の概念ができ上がっていった。同時に病理学的検討でも血栓形成が注目され、血栓がplaque破綻部位に一致して付着していることが明らかにされてきた。

急性心筋梗塞や不安定狭心症、非Q波心筋梗塞での冠動脈造影が広く行われるようになると、いずれにおいても血栓が高頻度に認められ、狭窄部粥腫の破綻に一致すると思われる不規則な冠動脈壁不整も確認されるようになり、これらの冠動脈造影像には不安定狭心症と 非Q波心筋梗塞では差がないこと、急性心筋梗塞では完全閉塞率が高いことなどが明らかとなった。このことは、これらが臨床的な病型は異なるが基礎となる病態は同一である可能性を示唆しており、ここにplaque破綻、引き続く血栓形成、内腔閉塞という図式でき上がった。 Fusterはこれらを巧みにまとめて、血栓形成が過大で内腔を完全閉塞すれば急性心筋梗塞、亜完全閉塞にとどまれば不安定狭心症、いったん閉塞した血栓が流出して早期に再開通すれば非Q波心筋梗塞とし、血栓量の紙一重の差で急性心筋梗塞と不安定狭心症が相互に移行しうる機序を説明し、この基礎病態により急性心筋虚血を呈する疾患群を acute coronary syndrome と称した。ご。く軽度の狭窄から急性心筋梗塞が発症しやすい点も、進行過程の動脈硬化巣は破綻しやすく、破綻創が大きいと多量の血栓が付着して内腔閉塞に至ると説明された。多くの症例ではplaqueが破綻しても無症状で、そのうち新生内膜により修復さ、狭窄度は進行するがplaqueは安定化して安定狭心症となるとされた。動脈硬化が階段状に進行する(jump up)点をもこの機序で説明された。しかし、すべてのACSがplaque破綻、血栓形成で説明できるか否かはまだ議論が必要である。高齢者の不安定狭心症では、plaque破綻などが生じそうにない高度石灰化病変も珍しくない、など疑問点もあるからである。急性心筋梗塞の前駆症状としての安静時狭心症発作の重要性は、これが血栓による短時間の閉塞と考えると理解しやすい。Braunwald の不安定狭心症の重症度分類でも、1ヵ月以内の安静時狭心症、48時間以内の安静時狭心症の有無で、それぞれを中等症、重症に分類している。ACSという考え方は、虚血性心疾患を心筋壊死の有無で心筋梗塞と狭心症に分けて考えるのではなく、急激に虚血が進行するおそれのある急性虚血と虚血が慢性的に存在するが急激な進行は示さない慢性虚血に分けるということである。前者がACSで、後者は安定狭心症である。わずかな心筋逸脱酵素の上昇(心筋壊死)の有無で心筋梗塞、狭心症に振り分けることは、病理学的には意味のあることでも、治療をにらんだ臨床での意義は少ない。ACSを一つのclinical entityと捉えることで明確な治療方針を示すことができる。慢性虚血では症状の改善、生命予後の改善が治療目的であるが、急性虚血では救命、心筋梗塞への移行阻止が目的となる。

plaqueの破綻をきたしやすい不安定な病変は、主に平滑筋細胞とコラーゲンなどの細胞外基質からなる非薄な fibrous cap の下に多量のマクロファージを含む lipid core を有する。このような血管においては、しばしば内腔は保たれる。MMPなどのプロテアーゼはfibrous capを脆弱化し、plaque破綻を誘導する可能性がある。plaque破綻部位では血液とplaque内の tissue factor の接触により血栓形成が促進され、acute coronary syndrome が発症すると推定されている。脂質低下療法により、 lipid core のマクロファージが減少、 fibrous capの平滑筋細胞の活性化も抑制、MMPなどのプロテアーゼの活性が低下、血管の安定性を規定するコラーゲンなどの細胞外基質の集積が増加する。また、tissue factorの発現も低下し、血栓性が減少すると考えられる。この過程には、必ずしも血管造影で同定される内腔の拡大 病変の量的な縮小:(regression) は伴わず、血管壁細胞や構成成分の質的あるいは機能的改善 安定化: (stabilization)が主たる作用と推定される。

ウサギのplaque内の血栓形成促進因子が減少することを示した。 ウサギのplaqueのマクロファージはヒト冠動脈硬化病変同様、tissue factorを強く発現していた。 Tissue factor は第7因子と結合したのち、第10因子を活性化し凝固反応を促すが、ウサギのplaqueで同定された tissue factor は第7、10因子との結合能を有し、また第10因子を活性化しうることが示された。長期食事療法による脂質低下により、tissue factorの発現と活性はともに減少した。また、plaque平滑筋細胞もtissue factorを発現していたが、細胞形質の正常化に伴い、その発現は減少した。マクロファージ減少や平滑筋再分化に伴う血栓性の低下は、脂質低下により冠疾患イベントが減少するもう一つの重要な要因と考えられる。

ACSは、その原因が冠状動脈血栓症であるとの理由から急性心筋梗塞、不安定狭心症、および突然死が含まれる。冠状動脈血栓症のplaque破綻の原因として線維性被膜の非薄化がいわれているが、その主役はマクロファージと考えられている。plaque破綻には、粥腫破裂と粥腫erosionの2つのタイプがある。冠状動脈硬化症の新しい分類としてStary の分類が用いられている。ACSの危険因子は、高血圧症、糖尿病、および喫煙である。ACSは、その病因が共通して血栓形成にあるという理由から、急性心筋梗塞、不安定狭心症、および突然死を含む用語として用いられている。しかし、plaque破綻前の冠状動脈の病理組織学的な形態からplaque破綻の病態まで、詳細な機序はいまだ不明な点が多い。

冠動脈壁に存在するplaqueは時に活動性plaqueヘと転化することが知られており、破裂erosionやそれに伴う血栓性内腔閉塞をおこす。マクロファージ(Mφ)やTリンパ球などの炎症性細胞を伴う不安定なplaqueであることが明らかになってきている。血管収縮物質であるアンジオテンシンIIの発現が亢進、逆に血管拡張性物質であるナトリウム利尿ぺチドの発現やその作用が低下する。このことは、正常血管においては、その作用が互いに拮抗関係あるとされている"レニン・アンジオテンシン系""ナトリウム利尿ペプチド系"の両系のバランスが、plaque進展・破綻過程においては"レニン・アンジオテンシン系"優位に、すなわち収縮系の血管作動性物質優位の状態に傾いていることを示している。アンジオテンシンUは他の強力な血管収縮物質であるエンドセリンの産生を刺激することが明らかにされている。またアンジオテンシン変換酵素(ACE)の発現増大は、アンジオテンシンUの生成充進をもたらすのみならず、ブラジキニンの分解を促進して、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)の生成を抑制することも明らかにされている。破綻しやすい危険なplaqueは脂質成分に富んでいるほか、線維性被膜(fibrous cap)が脆弱化、非薄化しておリンパ球などの炎症性細胞が集積していることが明らかにされている。急性心筋梗塞(AMI)、不安定狭心症(UAP)、安定狭心症(SAP)の血漿中の酸化LDLを測定し、AMIの血漿中酸化LDL値は、UAP、SAPのそれに比べて有意に高値であり、また高コレステロール血症がない患者でも血漿中酸化LDL値が高値を示す。また、AMII剖検例でも血中酸化LDLの上昇がみられ、AM1患者において血漿中酸化LDL値が上昇し、かつ血漿総コレステロール値が正常でも酸化LDL値が上昇していたという事実は、今まで考えられた以上に酸化LDLがACSの発症に密接に関与していることを示唆する。

 

参考 トロポニン T について

心筋炎が疑われた80例を対象にトロポニンT値を調べた結果、3分の1の患者でトロポニンT高値を認め、心筋生検で心筋炎と判明した全例でトロポニンT値が上昇していた。 (J Am Cardio 130:1354-9、1997)  トロポニンT検査の有用性に関する報告が数多く出ている。救急外来を受診したST上昇の無い胸痛患者770人のうち、急性心筋梗塞と診断できた患者50人のほぽ全例で、トロポニンT が陽性だった。(N Engl J Med 337:1648-53、1997)   ACSに対する抗血小板薬・GPUb/皿a 阻害薬の効果をみたメガスタディでは、入院時のトロポニンT値が高いと、予後が極めて不良であり、トロポニンT値が高いほど抗血小板薬の効果も上がることが示されている。これらのエビデンスの蓄積から昨年9月、欧州心臓病学会と米国心臓病学会は合同で、急性心筋梗塞の診断基準を全面改訂した。心電図変化と症状がメーンだった診断基準を、トロポニン(T及び1)上昇を軸に心電図と症状を組み合わせる基準に変えた。(J Am Coll Cardio136:95969、2000)

 

トロポニンT 迅速検査キット

急性心筋梗塞の診断は通常、問診と心電図でなされるが。胸痛などの典型症状や、ST上昇など特徴的な心電図変化を示さない患者も多い。トロポニンT:  心筋の筋原繊維を構成する蛋白の一種で、虚血の傷害によって筋原繊維が分解されると、血中に漏出する。CKなどと違い、健常者では検出されないため、心筋傷害に対する特異度が極めて高い。分析機を用いる測定法もあるが、最近、外来で採血した全血150μmlを滴下するだけで5〜15分後に判定できる検査キット(商品名:トロップTセンシティブ 三和科学研究所)ほぽ100%陽性になったら、急性心筋梗塞と言える。 心電図にST上昇などの典型的所見が無くても、心筋壊死に陥っていれば心筋梗塞とすべきである。トロポニン上昇で検出される微小心筋傷害を伴う高リスク不安定狭心症も、急性心筋梗塞に含まれる今回の改訂は取りも直さず、急性心筋梗塞の診断には、心電図と並んで、心筋障害の検出が重要なポイントになったことを示す。日本でも今後、トロポニン検査の導入が進み、第一線における初期治療方針の決定に活用されることが望まれる。急性心筋炎も見逃さないトロポニンT検査は、早期診断が極めて難しいとされる急性心筋炎の診断にも活用できる。

 

参考 2 ACSの概念 Fuster

1992 Fuster 病理所見から発生機序と病態を説明

N。Engl。J。Med、326、242-250、1992)

 

急性スパスム (可逆ならば異型狭心症)

内膜・中膜の損傷(内膜下浮腫・血腫)

スパスムの遷延化

粥腫の崩壊と血栓形成

内皮細胞の剥離、消失、erosion

露出した内皮下組織に血小板粘着、活性化、凝集

不安定狭心症(UAP)、非Q心筋梗塞(NonQMI)、Q波心筋梗塞(QMI)

 

FusterのACSへの批判1

診断基準の不統一

急性心筋梗塞(nonQ、Q、CK、TnT)

不安定狭心症をどう扱うか?

切迫梗塞から安静時狭心症まで

Braunwaldの定義

48時間以内発症の安静時狭心症が含まれる

冠スパスムの狭心症が入ってしまう

Fusterのplaque破綻、亀裂による血栓形成がACSのすべてか?

Plaque erosionに急性血栓を生ずることがある。

ACSの40%に含まれるとする論文もある。

Erosionには内膜欠損、ここに急性血栓をつくる。

plaque ruptureはない)

急性冠スパスムが遷延化して、血流社団が原因で起きる二次血栓形成によるACS  約10%にあるといわれる。

冠硬化病変、粥種による内腔狭窄度の進行

Sudden jump up

Fusterのいう軽い狭窄の粥腫、plaqueが、突然破綻して血栓を生じて冠狭窄、閉塞をもたらすという機序ではACSの説明はできない。

Plaque erosionから血栓を生ずることもあり得る

粥腫の連続的増大により冠動脈内腔が90%を越えて

highLDL、smoking、sheear stressなどで内皮細胞機能障害

血流粘調度の昂進、血小板付着、スパスムが反復性に起きる

 

50%以下の狭窄から数カ月以内で90%以上の狭窄に進行する例も多い

ACS剖検例でのplaque ruptureは50%、

残りの多くはplaque erosion

冠血流が急に遮断されて冠不全をおこせばACSとよぶ。

ACSの内科治療

Plaqueの安定化

コレステロール、LDLcの強力な低下が必要

厳格な食事療法

スタチン

Plaque内のmacrophageの減少

Tissue factors(TF)、MMPs(マトリックスメタプロテアーゼ)の減少と不活化

ACEU活性の抑制(plaque ruptureによる血栓 )

禁煙

 

ACSの内科治療2

Plaque erosionと急性血栓の予防

内皮細胞が、shear stress (血流、スパスム)

 

ACSとインターベンション

PTCA後の急性冠閉塞、末梢塞栓

BENESTENTUtrial

STENTがBaloonにまさる

6M後、endpoint  12。8% vs 19。3%

UAP  NQMI

TIMI VB trial 6W以内の再入院 7。8%  vs  14。1% (p<0。001)

VANQWISH trial

 

血栓のサイズが小さく閉塞時間が短いこれらは、杭血小板療法を十分に行ってからCAGへ

 

ACSとNO

ACSと凝固線溶系

ACSとGPUb/Va

GPUb/Va

ACSと酸化LDL

ACSと細胞接着分子

AHAの新しい形態分類

Vulnerable plaque

ACSと遺伝子多型

GPUb/Va inhibitor

血小板凝集の最終段階を抑制

stableAPとくらべて、ACSは病変に血栓を伴うことが多い

PTCIにおけるGPUb/Vainhibitorが有効

Rotablatorにおけるslow flowの減少

脳内出血の予防

Heparinの減量

Activated clotting timeを計測

血小板数の2時間おきに計測

EPIC trial UAP highriskintervention   endpoint 35%減少

 

ACSの予防

Plaque形成の予防

 

Plaqueの破裂の予防(交感神経活動、スパスム、ACE、β遮断薬、酸化LDL)

急性血栓(血小板粘着、凝集による)

GPTbとvWFの結合

TFの発現

PAI活性の亢進

トロンビン受容体の亢進、易血栓性

血小板の活性化、FIBRINOGEN活性、PAI-1上昇

 

ACSの一般予防

動脈硬化の予防

禁煙

脂質

TCHO、レムナント、

血圧

耐糖能

ホモシステイン

運動療法

ストレスマネージメント

ACSと高脂血症

初発再発予防

HMGCoA還元酵素阻害剤

正常TCの人にも有効

NCEP LDLc<100

2次予防

TC<180

レムナント(中性脂肪を多く含むリポ蛋白)

動脈硬化を引き起こす

フィブラート TGさげる HDLあげる 心血管事故の抑制

ACSと抗血小板薬

Aspirin  

血小板によるthromboxane合成抑制、血小板凝集抑制

1次予防 AMI、SD  34%減少

UAP、MI減少させる

緊急冠動脈造営においてもintervantionのために投与しておく81-250mg

下壁梗塞などで嘔吐があると飲めない、注射薬は今はない

切迫心筋梗塞で入院した場合、発作中の心電図が補足されず、異型狭心症との鑑別ができない場合は、aspirin、heparin、nitrate、必要な場合はnicorandilを投与してCAGに望む。

 

 

チクロピジン

シロスタゾール

ACSと血栓溶解療法

Emergent PTCIとの比較

PTCA施設への時間がかかる時は静脈内投与

すぐにPTCAができない

閉塞血管内の血栓が多い

しかし、切迫心筋梗塞では血栓溶解療法は有効でない とされる

 

ACSと杭凝固薬

Warfarin

1次予防、2次予防に有効

杭血小板薬との併用もよい

ACSとACEI

Coronary plaqueの進展時にACEの発現が増加

このためAUが増加

平滑筋遊走増殖、内皮機能障害

postMIの心不全に有効 

SAVE(Survival and Ventricular Enlargement) Study

ACSとβ遮断薬

心仕事量 心筋酵素需要を低下させる

交感神経活性を抑制

冠動脈壁のshear stressを減らす

冠動脈plaqueの安定化

2次予防 postMI 25%減少

ACSとCa拮抗薬

スパスムに続発する血栓やplaqueのruptureがACS発症

日本では多く使われるが、1次予防で有効となる論文がない

異型狭心症では使わざるを得ない

 

AMI Killip Shock

elderAMIsymptom

AMI age symptom

UAP HighLowRISK

Cerebral vessel diseases

Cerebral vessel diseases 2

Human vessel system

Human heart

Atherogenetic risk factors

Tcho MI Ratio

Tcho & coronary risk incidence

LDL-C & coronary risk

Atherosclerosis

Age_Killip

アラキドン酸カスケード

アスピリンは血小板の活性化により発生したアラキドン酸カスケードのうちのシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の作用を阻害することにより、この酵素から生成される強力な血小板凝集惹起作用を有するエイコサノイドであるトロンボキサンA2(TAX2)の合成を抑制して、血小板凝集抑制作用を発揮する。

アラキドン酸カスケード血管内皮にも存在し、内皮のCOXからはTAX2と正反対に血小板凝集抑制作用を有するエイコサノイドであるプロスタグランジンI2(PGI2)が生成される。

 

参考3 アスピリン・ジレンマ 

日本人の三大死因は、癌、心臓病、脳卒中である第一位は癌であるが、心臓病と脳卒中を血管障害として一括すると、癌を上回り、死因の第一位となる

 心筋梗塞と脳梗塞は動脈硬化が原因となり、そこに血小板を主体とする血栓が形成されて、血管内腔を閉塞するという共通のメカニズムで生じる

 心筋梗塞と脳梗塞はそれぞれの前段階である狭心症とTIAを含め、閉塞性動脈硬化症とともにアテローム血栓症という概念で総称されるようになり、抗血小板療法の適応となる病態であると理解されるようになった

アスピリンは血小板のCOXのみならず内皮のCOXをも阻害してしまうので、TAX2合成のみならず、PGI2合成をも抑制してしまう可能性があり、この現象は アスピリン・ジレンマ と呼ばれている しかし、血小板には核がないので、一度アスピリンに暴露された血小板は2度とTAX2を合成できなくなるが、内皮細胞には核があるので、メッセンジャーRNAによりCOXの再生産が可能である このCOXの再生産は、アスピリンの用量が少ないほど、早く生じやすい。  したがって、慢性リウマチなど対して鎮痛薬として用いるような大量では、アスピリン・ジレンマが生じてしまうので、血栓症の治療薬として用いるにはアスピリン・ジレンマを回避するため、むしろ少量が望ましい。

 大人が服用しても解熱・鎮痛効果は期待できない、1錠中わずか81mgのアスピリンしか固有しない『小児用バファリン』がわが国で、脳梗塞や心筋梗塞の再発予防に用いられてきたのは、このような理由からである。