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##虚血性心疾患と喫煙##

 

 

02/06/30 に更新しました。

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神奈川新聞 診察室 2002.6.11 号

虚血性心疾患 と 禁煙   川崎市内科医会  幸区 はとりクリニック 羽鳥 裕


 喫煙習慣は、高血圧、高コレステロール、糖尿病と並んで心臓発作の大きな原因(リスクファクター)です。フラミンガム、久山町、フィンランドの多数の人を対象とした研究から、毎日20本吸う人は、1.5倍も冠動脈疾患になる率が高くなることがわかりました。 でも、その後1年間、完全禁煙できた人は元々吸わない人と同じ率に下がります。たばこをやめると太るからいやだ。という人多いのですが、がんの予防に比べて、1年禁煙するだけでも、これだけ効果もあがるのですから、心臓病のリスクのある人には禁煙を積極的に薦めます。ニコチンガム、ニコチンパッチ、インターネットの利用などいろいろな自助法があります。
 心臓発作の多くは、心筋の虚血が原因のことが多く急性冠症候群(Acute coronary syndrome ACS)と呼ばれています。この領域は、日進月歩で治療方法が進んでいます。急性心筋梗塞を起こした人の半数近くが、検診を含めて直前の心電図は”異常なし。”です。ですから、検診などで異常がなかったからと言って心臓発作が起きないとはいえません。病院到着前に心肺停止(心臓が止まる)している人の40−70%が心臓病で、心臓急死例の70%が心筋梗塞などのACSです。 ACSでは、発作から再び血液が流れ始めるまでの時間が生き死に分かれ目になりますので、心臓発作が起きてから病院に到達するまでの間の時間をいかに短縮できるかが大事なことです。かかりつけ医に、心電図の異常、高血圧、糖尿病の指摘を受けている人は、もし、胸の圧迫が5分以上続いたり、息苦しい、気が遠くなる、めまいなどがでたときは、”心臓の発作のかもしれない。” と考え、一刻も早くしかるべき病院へたどり着くことが大事です。119番通報をして、病院へ運んでもらうこと。救急車がくるまでは、ご家族、周りの人は、by standar CPR((居合わせた市民による蘇生)を是非行ってください。この一次救命措置(BLS basic life support)は、米国心臓協会ガイドライン2000が世界基準となって統一され簡単になり、日本でも採用が決まりました。(各地で講習会が開かれますので参加してください。)
 自家用車で病院へ行くと、救急患者と思われないこともあり、時間のロスになります。異論がでるかもしれませんが、かかりつけ医に、病状を連絡し過去の心電図などの資料を求めたりすることも大切ですが、初期治療は1分でも大事にしたいのです。
 そして、ACSの日常の予防は、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸、肥満、喫煙習慣、ストレスの強い生活、運動習慣がない、男性、高齢者、閉経後の女性などが発作の予備軍ですので、主治医に相談し生活習慣を見直しも大事です。
 


 

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神奈川新聞 診察室 2002.6.11 号}

虚血性心疾患 と 禁煙 

 

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