病気のメモ{lefttitle_siseaememo}
##PROGRESS##

 

 

02/10/06 に更新しました。

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PROGRESS試験は、過去5年間に
脳卒中の既往のある症例において、
ACE阻害薬ペリンドプリルを基本と
した降圧薬治療が再発を予防し得るか
否かを検討したトライアルである。す
でに主要な結果が昨年発表されている
が、本学会では痴呆と認知機能に関す
る予防効果がTzourio教授により報
告された。彼はまず、痴呆の頻度は
65歳では5%にすぎないが、85歳で
は25%に達し、2020年には地球上で
3,000万人にも達すると指摘したうえ
で、脳卒中が痴呆の重要なリスク因子
であることから早急な脳卒中後の痴呆
の予防対策を立てる必要性を説いた。
PROGRESS試験では、MMSEの
26点未満を認知機能障害、3点以上
の下降を認知機能の低下と定義した。
脳卒中後の痴呆を有さない症例が対象
となったために、対象症例の平均
MMSEは実薬群{プラセボ群ともに
29点であった。全体として結果は実
薬治療群はプラセボ群に比べて痴呆の
発現を12%減少させたが、有意には
至らなかった。しかし脳卒中再発の有
無によって痴呆予防効果について分析
すると、脳卒中再発例ではペリンドプ
リルを第1薬とした実薬治療群におい
て34%のリスク減少率を呈し、予防
効果を認めた。一方、脳卒中の非再発
例においてはプラセボ群と実薬治療群
の問に有意差は認められなかった。認
知機能の低下に関して、実薬治療群は
プラセボに比べて有意に予防効果を示
し、脳卒中再発の有無を分析すると、
やはり非再発例では両群間に差はみら
れなかったが、再発例で実薬治療群が
実に45%(95%信頼区間21〜61%)
の進行予防を示した。さらに試験開始
時における認知機能障害の有無により
分析したところ、認知機能を有する対
象では実薬治療の痴呆予防効果は認め
られなかったが、有しない症例では実
薬治療のリスク軽減率は31%と有意
であった。
以上の結果から、脳卒中罹患例にお
いてペリンドプリル+インダパミド治
療は、脳卒中を再発した症例および認
知機能障害を有していない症例におい
て痴呆の予防効果を認めるというやや
複雑な結果となった。逆にいえば、脳
卒中の非再発例や認知機能が良好な例
では実薬治療のメリットが少ないとい
う結果と解釈できる。

 

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