病気の一口メモ 糖尿病の薬物療法(経口剤)
経口剤の種類
(1)食後過血糖改善剤---ブドウ糖の吸収を遅らせ、食後、急激に血糖が上昇するのを抑えます。
@グルコパイ錠 1日3回、食事直前に服用
Aベイスン錠 1日3回、食事直前に服用
★ 副作用:低血糖症、お腹がはる、おならが出やすくなる、下痢など
が出ることがあります。
(2)血糖降下剤---インスリンの分泌を高め、食後、血糖が上昇するのを抑えます。
@オイグルコン錠 1日1〜2回(朝または朝夕)食前または食後に服用
Aグリミクロン錠 1日1〜2回(朝または朝夕)食前または食後に服用
Bアマリ−ル錠 1日1〜2回(朝または朝夕)食前または食後に服用
★ 副作用:低血糖症、食欲が出る、皮疹などが出ることがあります。
(3)速効型インスリン分泌促進剤—インスリンの分泌を高め、食後、血糖が上昇するのを抑えます。
@ファステイック錠 1日3回 食事10分前に服用
Aスタ−シス錠 1日3回 食事10分前に服用
★ 副作用:低血糖症、食欲が出る、皮疹などが出ることがあります。
服薬治療についての注意
(1) 薬物療法は食べ過ぎ、運動不足のまま服薬を続けても良い効果は期待できません。
糖尿病治療の目標は「糖尿病の合併症を起こさないようにすること!」です。
@ 食事療法 A運動療法 B薬物療法 を毎日バランスよく続け、より良い生活が出来るように日常生活をコントロ−ルすることが大切です。
* 糖尿病の合併症:眼(網膜症)、腎臓(腎症)、神経障害、白内障
足の壊疽(血流障害となり細菌が入り化膿する)
動脈硬化症(脳梗塞、心筋梗塞)、感染症などです。
(2)定期的に血液検査を行ないますので受診して下さい。
また、薬は切らさないように補充しておきましょう
(2) 薬を飲み忘れると血糖のコントロ−ルが乱れますので、忘れないで服用しましょう。
飲み忘れないように、1回分ずつ分けて準備したり、外出のときは必ず持参しましょう。
万が一、飲み忘れた場合
@ファステイック錠、スタ−シス錠(速効型)を飲み忘れた場合
食事を始めた後に飲み忘れに気づいたら、1回飛ばして次の食前に飲んで
下さい。絶対に2回分を1度に飲まないで下さい。
A食後過血糖改善剤のみ服用とか、血糖降下剤のみ服用の場合
食後1時間程度の場合は飲む。食後1時間以上経過してしまった場合はその分は
飲まない。
B食後過血糖改善剤と血糖降下剤を合わせて服用している場合
食後30分以上経過した場合は食後過血糖改善剤は飲まないで、血糖
降下剤のみ服用する。
(4)食事を抜いたときは、基本的には薬を飲まないで下さい。
風邪をひいたとき、発熱、胃の調子が悪い下痢などの症状がある場合は、自分の判断で服用をやめたり量を変えたりしないで、必ず医師に相談しましょう。
(5)薬の飲み合わせの注意
他の薬との飲み合わせで低血糖や高血糖となり、コントロ−ルが悪化することが
あります。
主治医以外の医師から薬を処方してもらうとき、歯科を受診するとき、市販の薬を購入
するときには、糖尿病治療の薬を服用していることを必ず医師や薬剤師に伝えましょう。
(3) 副作用について
副作用がでた場合は主治医に相談しましょう。
* 低血糖症状:強い空腹感、あくび、冷汗、手足の震え、動悸、めまい、吐き気
意識が薄れる、意識がなくなることがあります。
* 低血糖症状が起こったら
@ すぐに砂糖(ペットシュガ−)、角砂糖、飴玉、ジュースなどの糖分をとって下さい。砂糖は10〜30gが目安となります。
A 食後過血糖剤(グルコパイ錠、ベイスン錠)を常用し低血糖を起した場合、砂糖ではなく、ブドウ糖(10〜15g)を飲むか、ブドウ糖を含んだアイソトニック飲料(ポカリスエットなど)を飲んで下さい。
薬局で低血糖用のブドウ糖を買って外出のとき持参して下さい。
B 意識がなくなることもありますので、外出のときは[糖尿病手帳]
や[糖尿病患者カ−ド]を身につけて出かけましょう。
(2001・3)
〒212-0058 川崎市幸区鹿島田1133-15
(医)はとりクリニック 羽鳥 裕
TEL&FAX 044-522-0033