病気の一口メモ 高脂血症
高脂血症とは、血液中のコレステロールや中性脂肪が異常に高くなった状態をいいます。
【 正常値 】 正常値の基準が緩和されました。
血中コレステロール (240r. /dl未満) LDLコレステロール(悪玉)(140r. /dl未満)
中性脂肪(トリグリセライド)(150r. /dl未満) HDLコレステロール(善玉)( 40r. /dl以上)
高脂血症の合併症は、第一に、多くの血管の動脈硬化があげられます。
動脈硬化には、動脈硬化危険因子といいわれる原因となるものがありますが、高脂血症のほかに高血圧症、糖尿病、肥満なども重要です。これらの危険因子をあわせもつことを「死の四重奏」といいます。危険因子がひとつ、ふたつ --- 重なるごとに高脂血症だけのときよりも、非常に高い率で心筋梗塞、狭心症、脳卒中、腎不全などにかかりやすいといわれています。
食生活の変化( 肉食が多くなり、ファーストフードの普及など )に伴ない、高脂血症は急激に増加しています。
高脂血症の治療は、薬物療法で血中コレステロールや中性脂肪の値を正常値の上限まで下げることを目標に、食生活を見直し適度の運動を心がけ、健康的なライフスタイルを維持して動脈
硬化の進行を防止することにあります。
高脂血症の中でも遺伝によって起こる、親、きょうだい、血縁者に多いものを家族性高脂血症といいます。合併症に若い頃よりかかり、10年程寿命が短くなるといわれています。
症状:高脂血症は沈黙の病気ともいわれ、自覚症状がないのが普通です。家族性高脂血症では、血中コレステロール値 ( 平均330r. /dl前後 ) が極端に増加するため、アキレス腱や関節に黄色腫( 脂肪のかたまり )ができます。
また中性脂肪の値( 1,000r. /dl以上 )が極端に増加すると急性膵炎(急激な腹痛)
を起こしやすくなります。
治療:@高コレステロール血症 ――――― リピトール、メバロチン、リポバス、ロコール、
A高中性脂肪血症 ( トリグリセライド) ― ペリシット、コレソルビン、ベザトール
B複合型高脂血症 ―――――――― メバロチンとペリシット、メバロチンとベザトール
( 高コレステロール血症と高トリグリセライド血症 に対しての治療)
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(表 1)コレステロールが多い食品
食 品 名 |
80 kcal. の重量 ( g ) |
80kcal.中の含有量 (mg) |
備 考 |
食 品 名 |
80 kcal. の重量 ( g ) |
80kcal.中 の含有量 (mg) |
いか たらこ するめ うに すじこ わかさぎ えび しゃこ( ゆで ) しじみ あんこうきも ししゃも ( 生干し ) |
100 80 20 60 30 80 80 80 150 20 40 |
300 272 196 174 153 152 120 120 120 112 104 |
2分の1 1腹 |
しらす干し 鶏レバー 豚レバー 牛レバー 卵黄 鶏卵 うずら卵 うなぎ(蒲焼) 鶏肉(若鶏もも) 豚肉(肩ロース) 牛肉(肩ロース) |
40 60 60 60 20 50 50 30 60 40 40 |
100 222 150 144 260 235 235 72 57 26 28 |
*『糖尿病食事療法のための食品交換表』より引用
<高脂血症>
生活上の注意
食事について
@バランスのとれた食事を、1日3回規則正しくとるようにしましょう。
A食べ過ぎ、アルコールの飲みすぎに注意し、太り過ぎないようにしましょう。
※ 適正体重を維持しましょう。( 肥満度は+−10%以内 )
標準体重 = 身長(m)× 身長(m)× 22
肥満度(%)=( 現在の体重 − 標準体重 )÷ 標準体重 × 100
エネルギー摂取量は標準体重に対し、
25 〜 30 〜 35 kcal. / kg. /日が基本です。
【 25:軽作業、 30:普通の作業、 35:重労働 】
B血中コレステロール値の高い場合:コレステロール摂取量を1日200 〜 300r.
以下に抑え、コレステロールの多い食品は控えめにとるようにしましょう。
※ 鶏卵1個、うずら卵6個:コレステロール 235 mgを含有 【(表 1)参照 】
C血中の中性脂肪が高い場合:総カロリー、アルコール、糖分( 砂糖、お菓子類 )をとりすぎないように注意しましょう。
D動物性脂肪( バターやラードなど )を減らし、植物性脂肪( 植物油、マーガリンなど )を適量とるようにしましょう。
青背の魚( いわし、さんま、さば )などは、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす働きがあるので、適量とりましょう。
E食物繊維は血中コレステロール値を低下させるので、野菜類( 野菜、海草、コンニャク、きのこ類など )を十分にとりましょう。
※ 野菜の目安量:1日300 g( 緑黄色野菜を100g以上含むこと )
F塩分を制限しましょう。( 7 〜 10 g/日以下 )
高血圧症の合併症があある場合は、7g/日以下のうす味の習慣に慣れましょう。
Gコーヒーは血中コレステロール値が高くなるので、飲み過ぎないようにしましょう。
1 〜 2杯位/日
日常生活について
@運動について
適度の運動は余分なエネルギーを消費させ、中性脂肪を低下させて、肥満を予防します。無理のない範囲で継続することが大切です。
ウォーキング:毎日あるいは週に3 〜 5日、息がはずむ程度の速さで
1日30 〜 45分くらいの運動が目標です。( 1日8,000 〜 1万歩位 )
A禁煙しましょう。
(2001.10 )
〒212-0058 川崎市幸区鹿島田1133-15
(医)はとりクリニック 羽鳥 裕
TEL&FAX 044-522-0033