00/12/04 更新
HATORI CLINIC
1133-15,kashimada,saiwaiku,kawasaki TEL&FAX 044-522-0033
No.2
高脂血症(高コレステロール血症、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症) 生活習慣の見直しと薬物治療を併用します。
気管支喘息、慢性気管支炎、気管支喘息は、β遮断薬、αβ遮断薬は喘息を悪化させることがあるので使用しません。
ACE阻害薬は気管支の過敏性に影響を与えないと言われ、ほとんどの喘息に安全に使用できます。またACE阻害薬で空咳が出る場合はAU遮断薬に切り替えます。
慢性閉塞性疾患の場合は気管支喘息を伴うことも多いのでβ遮断薬は使用しません。またACE阻害薬で空咳が出る場合にはAU遮断薬に切り替えます。
胃潰瘍 末梢性交感神経抑制剤は、副作用として胃液分泌過多による胃潰瘍を伴うことがあります。
3.降圧剤の種類と特徴
利尿剤 腎からナトリウムと水が排泄されて循環血液量が減ることと、薬剤が直接血管平滑筋に作用 して、末梢血管抵抗が減少することにより血圧を下げます。1)サイアザイド系利尿剤 フルイトラン 2m
非サイアザイド系利尿剤 ナトリックス 1mg
2)ループ利尿剤 ラシックス 20mg
3)カリウム保持性利尿剤 アルダクトンA 25mg
β遮断剤 交感神経のβ受容体(血管拡張作用、心拍促進作用、気管支拡張作用)を遮断し、心拍出量
を低下させる作用、血管運動中枢などへの中枢作用、腎からのレニン分泌(血圧を上昇)の抑制作用などにより血圧を下げます。
セロケンL 120mg セレクトール 200mg ハイパジール 3mg
インデラル 10r
遮断剤 交感神経のα受容体(血管収縮作用)を選択的に遮断し、血管拡張作用
により、末梢血管抵抗を減少させ血圧を下げます。
エブランチル 15mg ハイトラシン0.25r バソメット 0.25r
カルデナリン 1mg,2mg デタントールR 3r,6r
αβ遮断剤 β遮断剤の中でα遮断作用が強い薬物、β遮
断効果に加えてα遮断効果により末梢血管拡張作用が加わり血圧を下げます。
アルマール 5mg
カルシウム拮抗剤 血管平滑筋の細胞外から細胞内へ入るCaを抑え、血管拡張作用により血圧を下げます。
ノルバスク 2.5mg アムロジン 5mg ランデル 10mg,20mg
アテレック 10mg シスカ−ド 10mg *ペルジピンLA 20mg,40mg
No.3
*バイミカード 5mg *バイロテンシン 5mg *アダラート 10mg
*アダラートL 20mg *アダラートCR 10mg,20mg
*セパミットR 10mg ニバジール 2mg,4mg
ヒポカ 5mg,10mg,15mg ムノバ−ル2.5mg,5mg
コニール 2mg,4mg カルスロット 10mg
ヘルベッサー 30mg ヘルベッサーR 100mg
(*印は、グレ−プフル−ツの影響を受け、Ca拮抗薬の作用を増強する薬です。)
薬の内服中はグレ−プフル−ツやグレ−プフル−ツジュ−スを摂らないことが望ましいです。
ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)
腎血流量が低下すると、蛋白分解酵素であるレニンという物質が出てきて、血液中の蛋白質
に働きかけアンジオテンシンを産生します。
アンジオテンシンTからU(血圧を上昇させる)へ変換する過程において生じる変換酵素を阻害することにより、Uの作用を抑制し、末梢血管を拡張させ血圧を下げます。
セタプリル 25mg,50mg タナトリル 5mg レニベース 2.5mg,5mg
コナン 10mg インヒベ−ス 1mg エースコール 2mg
チバセン 2.5 mg コバシル 2mg,4r ゼストリン 5mg
ロンゲス 5mg
AU遮断剤 ACE阻害剤よりアンジオテンシンUの作用を特異的に抑制し、血圧を下げます。
プロプレス 4mg,8r ニューロタン 25mg,50mg
交感神経抑制剤
1)中枢性交感神経抑制剤
脳のα2受容体に作用して、交感神経活動を抑制し、末梢血管の収縮を抑制して、血圧を
下げます。使用頻度が減っています。
2)末梢性交感神経抑制剤
降圧効果は良いが副作用として、うつ病の誘発、胃液分泌過多による胃潰瘍等があり、使用頻度が減っている。
血管拡張剤
末梢血管に直接作用して血管を拡張させ血圧を下げます。使用頻度が減っている。
4.どの薬から飲むのがいいか?
糖尿病 ACE阻害剤 Ca拮抗剤 α遮断剤腎臓病
ACE害剤 ( 血清クレアチニン >= 3.0 mg/dlでは避ける),
Ca拮抗剤利尿剤( 血清クレアチニン >= 2.0 mg/dlではループ利尿剤)
No.4
狭心症 Ca拮抗剤、β遮断剤、心筋梗塞、β遮断剤
脳血管障害 Ca拮抗剤、ACE阻害剤
高脂血症 α遮断剤(ACE阻害剤、Ca拮抗剤、AU受容体拮抗剤)
日常生活での注意
1)塩分を制限しましょう。
(食塩は7g/日以下、この内調味料などとして、添加する食塩は4g/日以下)
2)適正体重を維持しましょう。
標準体重(kg)【身長(m)×身長(m)×22 】の20%を超えないこと。
3)アルコールの飲み過ぎに注意しましょう。
(週休2日とし、一日のアルコールの目安量)
ビール(中):1本 ウイスキー(シングル):2杯
日本酒:1合 ワイン:200ml
4)コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えましょう。
5)適度な運動を継続しましょう。
〔有酸素運動・・・心血管病のない高血圧症の方が対象〕
運動療法(有酸素運動)は降圧効果があります。
早歩きなどをT日30~40分、週3〜5日継続しましょう。
〔T日8000〜T万歩を目標〕
6)禁煙しましょう。
喫煙はβ遮断薬の降圧効果を減少させます
喫煙は虚血性心疾患や脳卒中の危険因子です。高血圧症の方は心血管合併症予防のためにも、
禁煙しましょう。
7)その他
@ストレス解消法を見つけましょう。
A冬季の寒冷を避けるために暖房や防寒に気を配りましょう。(トイレ、浴室など)
B入浴の目安(38〜42℃位で5〜10分間位入浴)、冷水浴、サウナは避けましょう。
C便秘を予防しましょう。
(いも類、豆類、繊維の多い野菜類、海藻類等を摂ること。緩下剤の服用)
No.1
1. 新しい高血圧の基準 <正常血圧 130/85mmHg以下>
JNCVI(米国合同委員会第6次報告)
降圧目標:140/90mmHg以下
WHO/ISH(世界保健機関/国際高血圧学会)
降圧目標:
中年高血圧 130/85mmHg以下
高齢者高血圧 140/90mmHg以下
日本の高齢者高血圧(日本高血圧学会−高血圧治療ガイドライン2000年版)
降圧目標:
60代 140/90mmHg以下
70代 150〜160/90mmHg以下
80代 160〜170/90mmHg以下
2. 合併症のある方
糖尿病 糖尿病合併高血圧症は細小血管障害(腎症、網膜症、神経障害)や、大血管障害を予防し改善させるためにも、厳しい血糖と血圧の管理が重要です。
糖尿病を合併する高血圧症の降圧レベルは、低ければ低いほど虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の発症頻度が減少するという大規模臨床試験の結果に基き、降圧目標は低めに設定され、130〜85mmHg以上の正常高値の血圧から治療対象としています。
血圧が130/85mmHg以上の場合血糖の管理と生活習慣の改善を行い、 3〜6ヶ月で効果が不十分の場合、あるいは140/90mmHg以上の高血圧では同時に降圧薬の治療を開始します。
腎臓病 腎疾患を伴う高血圧症では基礎疾患が何であっても、高血圧は腎障害の進展を促す重要な危険因子であり、血圧のコントロールが腎不全の予防に極めて重要です。
降圧目標 130/85mmHg以下
尿蛋白 1g/日 以上では、125/75mmHg以下を目標
生活習慣では塩分制限と蛋白制限を行います。腎不全では激しい運動や過労を避けることが大切です。
狭心症、心筋梗塞
降圧目標 140/85mmHg以下
脳血管障害
1)脳卒中発症1〜2週間の急性期には、脳出血、脳梗塞の病型にかかわらず血圧は高値を示すことが多いです。しかし最高血圧220mmHg以上、最低血圧120mmHg以上でないかぎり、積極的な降圧治療は行わないのが原則です。これは降圧治療により病巣部の血流量が減少する危険性があるためです。
2)脳卒中1ヶ月以後にも高血圧であば150〜170/90mmHg以下を一次目標に降圧薬の治療を開始します。この際2〜3ヶ月以上かけて穏やかに血圧を下げ、さらに140〜150/90mmHg以下を最終目標に降圧治療します。