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##シンポジウム ITに挑戦しよう##

 

 

02/06/30 に更新しました。

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神奈川県内科医科学会
シンポジウム ITに挑戦しよう

2002.5.18

川崎市内科医会 幸区 はとりクリニック

羽鳥 裕 yutaka@hatori.or.jp

1. はじめに
 ITへの医療の期待は、医療関係者だけでなく、市民、行政などからも大きく、実際、すでに多くの医療機関で利用されており、いまさら”入門”などというのは必要ないと思います。しかし、開業医の診療場面でIT環境がなくても実害はないので、積極的に導入を計画しない先生もいるのも実状でしょう。 また、そろそろ導入しようとしても障壁を感じる先生もおられます。PC教室に通ってあきらめてしまった先生もいるようです。一方必要から、インストラクターを月 1,2回来て個人講習をうけている先生、子供に教えていただき手いる先生などさまざまです。
川崎市医師会では、医師会員約1,000名、医療機関が約700、このうちメールアドレスを一つ以上もつ先生は、まだ過半数にいってないのですが、携帯電話はほとんどの先生がもち、携帯のメールを利用する先生方も多く、ここを突破口にIT環境の改善ができる可能性があります。医師会では、頻回に講習会を開いていますが、関心は今ひとつです。(図1) 一方、病院においてはほとんどがホームページをもち、一般開業医も20%近くがホームページをもつようになっています。(図2)

2. IT環境の準備 
 PCには様々なことができますが、図3 に示しますように、PCが1台あれば動くソフト、一太郎、ワードなどワープロソフト、秀丸のようなtext editor、エクセルに代表される計算ソフト、oracle,access,filemaker、4th dimensionなどのようなrelationnal database、SPSS、STATVIEW,DeltaGraphなどの統計処理グラフ化ソフト、photoshop,Fireworksなどの写真加工ソフトなど枚挙にいとまがありません。

 ビデオや写真をPCに取り込んで、自前の説明用クリップができます。特に、digitalVTR,digital CAMERAであればなにもソフトを介在せずに利用できます。
 図4にお示ししましたのは、健診の流れをいくつかのストーリーに分けて、予約、当日の受付、主な検査の方法、正しく検査していただくためのコツ、結果の説明、異常がでたときの精密検査の方法、紹介法などを作って、名刺大のCDRをつくって受診者にあらかじめ見ておいてもらいます。呼吸機能検査、胃バリウム検査、内視鏡検査などをスムーズに検査を受けていただくのに有用です。

3. ITのはじまり インターネットの仕組み
 しかし、ITを医療の場で実現するには、院内LAN,internet接続環境の構築が必須です。図5、図6「、に示しますように、インターネットを理解して、電子メールで仕事の大半ができるようになると、診療で患者さんが着替える間に、一つ返事がかけるようになり、万一、患者さんがとぎれても、その間に、新着メールのチェック、更新ホームページチェックなどができますので、精神的にも気が楽になります。メーリングリストは、メンバーの登録をすると、そのメンバーだけがのぞける黒板のようなものです。そして、書かれた内容に、書き込みをしてもいいですし、書き込みをしないで横目で見ていてもいいのです。自分に関係のない話題も、どんどん入ってくることもありますので、余り興味をもてなければ退会すればいいのです。また、議論が激高して、冷戦状態や罵倒の繰り返しにもありますのでそのようなときには管理人とよばれる主催者が仲裁にはいったり、問題のある人にはメーリングリストから抜けていただくこともあるようです。
 HIMEDARUMA,JAPHA,CCN-ML,Medpract,CMINC,HAMAMEDなど代表的な臨床のメーリングリストを紹介いたしましたが、メーリングリストは、きわめて専門的な分野で、世界中に研究者が散っているような領域や、特殊な趣味などでは有用に思います。(図7)
 医療に関するホームページは多数あり、専門医療に関するホームページには、医療関係者だけでなく一般の人、患者側からも見ることができるので、少なくとも専門領域ではリードできるよう勉強して行かなくてはなりません。さらにご自分の医療機関のホームページを作る時は、現在のところ、看板、電話帳の広告と異なって、自由度が高いのですが、ホームページを見て受診してくる患者さん、あるいはメールでの質問には、かなり難題をぶつけてくることもありますので用心も必要です。 


4. 医療では、具体的にどんな局面で使えるか?  
 病診連携の一つとして、病院からの返事で、CT,MRI、動画のCAG,LVGなどをCDRで添付してくれるようになりました。ことばでは、いいつくせぬ説明になり、勉強になります。DICOM、QUICK TIME、オシリスなどのviewer softで簡単に見ることができるようになりました。ある程度経年データがそろってくると、診療の流れを止めずに紹介状なども血液検査、心電図のコピー、内視鏡、超音波、レントゲン画像をそろえたりする間もなくなります。また気胸のような症例を入院お願いするときにも気胸の程度を峡部レントゲンをdijitizerで読み込んでそのままメールで添付して送った時は、送られる側の準備もしやすいと好評でした。

5. そして 電子カルテへ挑戦

 電子カルテには、事務ツール程度、レセコン程度のものから、オーダリングシステム、診診連携、病診連携など1患者1カルテ方式の地域の共通カルテ、患者側の許可があれば、互いの診療内容、検査成績、画像もそのまま見えるものもあります。
 ソフト20万円、年間サポート代  円程度の、僕が使っているDYMAMICSというソフトは現在まだ400ユーザーぐらいですが、診療側の要望を良く聞いてくれて速やかな対応がある、作者の吉原先生の好意できわめて廉価であるなどの利点がありますが、保守は原則自分でやるという点が敷居を高くしているかもしれません。臨床検査会社がOEMで採用している電子カルテ、レセコンメーカーS社の7,000,000円のもの、ほかにもすでに100を越える電子カルテソフトがあります。

無床診療所で、新規開業の先生の多くが電子カルテを採用され始めましたが、すでに2,3万のカルテを抱えている先生には、頭書きだけでも、移し替えるには管理者の確固たる導入動機とスタッフへの説得が必要です。
 しかし、今まで手書きレセプトを作っていた先生には、電子カルテはさほど難しくはないと思います。
 僕のところでは、レセプト、2号用紙に相当するカルテ部分はDYNAMICSを、そして外注検査(BML)はFDDで毎日、院内採血検査(血糖、HbA1C,血沈、血算、ドライケミ)は手入力、心電図(フクダME)はFDD、内視鏡(フジノン)はMO、レントゲン(日立)はデジタイザーで保存してRSBASEという広島の山下先生の開発されたソフトを利用させていただいてます。全ての機能が使いこなせているわけではないので、しばらくは、新しい機能を楽しませていただいてます。
 来年には、日医総研開発のORCAも軌道に乗ってくるので、模様眺めしている先生も導入に踏み込めるのではないでしょうか?今は、頻繁な改訂、バージョンアップ、debianというlinuxの特殊性による種々の問題、診療所には不要なほど多機能すぎて使いこなすのに大変だそうですが、ともかく4月のレセプト提出までこぎ着けていますので、今は、劇的な変化が起きる前夜ともいえるでしょう。

 

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