病気のひとくちメモ    はとりクリニック  伊藤看護婦 羽鳥加筆  1999.05

HB,HC 肝炎について

 *肝臓の働き

 肝臓は右わき腹にあり、1kg以上もある体の中でも大きな臓器です。心臓から送り出される血液

20%が供給され、血液成分の一部を作ったり体の状態に合わせて全身の血液

量を調節するなど重要な働きをもっています。

  1. 糖・蛋白・脂肪などの栄養物を分解して蓄えたり、必要なエネルギーに変えたり

します。

  2)ビタミンの貯蔵と合成をします。

  3)解毒作用…体内の害のある物質や老廃物を胆汁や尿によって体外に排除さ

 れます。

  4)消化液の分泌機能として胆汁の生成をします。この胆汁は脂肪の消化に大切

   な働きをします。

 * 肝炎に関しての血液検査    

  GOTGPT……肝臓に多く含まれている酵素で、肝障害があるとGOTGPT

            が上昇します。

  γ-GTP……胆汁の流れが悪くなると上昇します。アルコールでは特に反応し

          ます。アルコール性肝炎では初期に禁酒すれば値は正常にもどり

          ます。

  血清アルブミン……肝臓で作られる血清蛋白成分のひとつで、肝機能障害の程

              度や栄養状態をみる上で役立ちます。慢性肝炎から肝硬変

              に進行すると低下します。

  γ-グロブリン……慢性肝炎から肝硬変に進行すると高くなります。

  HBs抗原……(+)陽性の場合、B型肝炎ウイルスに感染していることをしめしてい

           ます。

  HBs抗体……(+)陽性の場合、かつてB型肝炎ウイルスの感染を受けたことがあ

           ることをしめしています。B型肝炎ウイルスにたいする防御抗体であ

           り、ワクチン接種によって作られた抗体です。

  HBe抗原……(+)陽性の場合、血液中のB型肝炎ウイルスの量が多く、感染力が

           強いことを示します。

  HBe抗体……(+)陽性の場合、血液中のB型肝炎ウイルスの量は少ないことを示

           し、感染力は弱いです。

  HBc抗体……HBe抗原(+)・HBc抗体(低値)−急性B型肝炎(感染力強)

           HBe抗原(+)・HBc抗体(高値)−キャリア(感染力強で要観察)

           HBe抗体(+)・HBc抗体(低値)−急性B型肝炎(感染力弱)

           HBe抗体(+)・HBc抗体(高値)−キャリア(感染力弱)

  HCVC型肝炎ウイルス)抗体……(+)陽性の場合、C型肝炎にウイルスに感染

                        していることを示します。

  1. A型肝炎……A型肝炎ウイルスに感染した食品、飲料水を介して感染しま

HAV)    す。(生の海産物、海外旅行など)

 2B型肝炎……B型肝炎ウイルス感染者の血液を介して、または夫婦間での

  (HBV)    感染、母子感染があります。特にHBs抗原(+)、HBe抗原(+)の

          母親が出産した子供はキャリアとなり慢性肝炎となります。

          家庭内感染もあげられます。

          医療従事者の針刺し事故などの感染も高いです。

3C型肝炎……C型ウイルス感染者の血液を介して(輸血)、夫婦間での感染、               

      (HCV)    予防接種針(同じ針で数人の予防接種をする)、医療従事者

              の針刺し事故などによる感染があります。

  肝炎は肝臓に炎症を起こす病気です。肝細胞が破壊されて肝臓の機能に障害が

 起こります。肝炎の70%がウイルス性肝炎です。A型肝炎は急性だけで慢性化しま

 せん。問題はB型肝炎・C型肝炎です。慢性肝炎と移行し一部は肝硬変から肝がん

 へと進行していきます。

          濃い色の尿、薄い黄褐色の便になることもあります。

          但し、慢性C型肝炎は、感染してもすぐには症状として現れないこと

          が多いです。1020年たって発症することもあります。