ヘリコバクタ−・ピロリと胃・十二指腸 00/02/04更新 佐々木看護婦 記
ヘリコバクタ−・ピロリとは
ヘリコバクタ−・ピロリは,1982年オ−ストラリアで発見された胃の中に生息している
細菌です。
従来,胃酸のように強力な酸の中には細菌は存在しないと信じられてきました。
しかし,粘膜をおおっている粘液層内にもぐりこんで粘膜の表面にくっついたり粘膜の細胞の
間に入り込んだりして,胃酸の影響を逃れ,生息,増殖しています。
また,ピロリ菌自身で尿素を分解してアンモニアをつくり,菌の周囲を中和に保って生きて
います。
ピロリ菌が胃壁に取り付くと細胞を弱めてしまう毒素を出し始めます。
すると菌をやっつけようと血液中の白血球が付近に集まり,両者の戦いが大きくなると,
胃粘膜の消耗を早め,粘膜が炎症を起こして胃炎になったり,胃や十二指腸の粘膜が深く
えぐられて消化性潰瘍になったりすると考えられています。
胃潰瘍患者の65〜80%,十二指腸潰瘍患者の90%程度,胃の中にピロリ菌がいること
が分かってきました。
また,ピロリ菌が慢性胃炎を起こすことは,現在では明らかになっています。
慢性胃炎のなれの果てである萎縮性胃炎が胃癌の前癌病変であると考えられています。
そして,消化性潰瘍の治療としては徐菌療法があり,ピロリ菌の増殖を抑えることができる
と報告されています。
ピロリ菌の感染率は衛生環境と相関するといわれており,上下水道が整備されていないよう
な地域や国では感染率が高く,経口感染が主な経路と考えられています。
40才以上の日本人の70〜80%がピロリ菌に感染しているという報告があります。
しかし,感染しても必ずしも発症するとはかぎりません。
ピロリ菌については現在でも,全てが解明されているわけではありませんが,消化性潰瘍を
初めとする身近かな胃の病変とのかかわり合いが非常に強い細菌であることが分かってきて
おります。
治療:除菌療法
酸を抑制する抗潰瘍薬(あるいは酸分泌抑制薬)と抗生物質と胃の粘膜を保護する薬
と併用します。
検査:胃や十二指腸に異常がある場合や,胃潰瘍をくりかえす人,また自覚症状がある人にも 検査を受けることをお勧めします。
■ヘリコバクター・ピロリ抗体法(血中,尿中,唾液)
血液や尿などをとり,ピロリ菌に対する抗体を測定する方法。
手軽に検査ができます。
■呼気を用いる尿素呼気試験法
検査薬を飲んでから呼気を集めて調べます。
将来的に主流になるといわれている検査法です。
■内視鏡による検査方法
※現在,検査と除菌療法の保健診療は適用されていません。
参考文献
日本医師会雑誌 1995・第113巻・第3号
『ヘリコバクター・ピロリと胃・十二指腸』(1998・8月)
企画・制作:朝日新聞メデイカル朝日
監 修:大分医科大学内科学助教授 藤岡利生先生
はとり内科クリニック(003)