スポーツと健康
当日のレジメです。
羽鳥 裕
1.プロローグ
運動は、からだによいことか?
2.運動はからだに悪い?
活性酸素 進入した細菌を除去する作用
生体には、高強度運動は有害
なぜなら、運動は生体内で大量の酸素を消費、
活性酸素が増加し細胞傷害、動脈硬化を作る。
抗酸化酵素の活性を高める、
運動直後の、抗酸化物質の摂取が必要
高強度の運動、オーバートレーニングにならないよう。
運動と突然死
3.運動は身体によい?
疫学 から
Morris バス運転手と車掌
Harvard Alumni Study
フィットネスレベル・身体活動量による心血管障害の程度
Cooper Clinic
インスリン感受性改善、血圧、糖・脂質代謝
がんの抑制効果
大腸がん、(50%減少)、直腸がんは余り減らさない
肺がん、前立腺がん、乳がんなども効果
体育会系と一般学生の卒業後
1・体育会系 病気の“数” “0” または 複数
肝臓病、糖尿病、結石、痛風、腰椎ヘルニア、腰痛症
運動量の減少と体重の急増、大量の飲酒習慣は残る
2・東京オリンピック1964出場選手その後
内科系、外科系についてフォロー
体力、筋力は維持しているものが多い
退行性変化は一般とほぼ同様にある
4.運動が病気を治す
投薬と同じような効果が証明されている。
糖尿病 (インスリン注射をしていない人)
高血圧症 (腎炎など合併症があるときは注意)
高脂血症 (家族性等高度を除く)
肥満症
心筋梗塞後、安定期狭心症(急性期は別扱い)
脳血管障害
喘息など慢性閉塞性肺疾患
脂肪肝など一部の肝障害
腎不全(透析中を含む)
精神科疾患
がん
5.糖尿病
糖尿病はインスリン不足あるいはインスリン抵抗によって高血糖になり,長く経過すると慢性合併症(腎症,網膜症,神経障害など)が起こる遺伝性疾患である.糖尿病の治療は食事,運動,薬物療法が原則である.糖尿病の病型はインスリン依存(1型)糖尿病(IDDM)とインスリン非依存(2型)糖尿病(NIDDM)に分類される.前者はインスリン分泌を行う膵β細胞が消失し,血中インスリンとC-ペプチドが低下し,インスリン分泌不足を招くためインスリン治療が不可欠である.後者は自己の膵β細胞からのインスリン分泌能が残存している.したがって経口血糖降下薬で血糖コントロールが可能であるが,膵β細胞からのインスリン分泌がみられなくなると,インスリン治療を行う必要がある.
6.高脂血症
高脂血症とは血清総コレステロール220mg/dl以上,トリグリセライド150mg/dl以上のいずれかまたは両者の場合をいう(日本動脈硬化学会基準).病因分類では原発性と二次性高脂血症に2大別される.二次性の主なものは糖尿病,アルコール過剰摂取,甲状腺機能低下症,ネフローゼ症候群,降圧薬(サイアザイド,β遮断薬)などに伴うものである.
家族性高脂血症
家族性高コレステロール血症ヘテロ型の頻度は全人口の0.2%で高コレステロール血症(平均330mg/dl前後),腱黄色腫(アキレス腱,手背伸筋腱など)を特徴とする.本症はLDL(低比重リポ蛋白)受容体の異常が成因である.
家族性複合型高脂血症の頻度は1%と高く,表現型が個人および家族内で変わる.総コレステロールは通常300mg/dl以下で,アポBが高値である.成因は不明であり,診断には家族調査が必須である.
家族性1型高脂血症は非常にまれで(約0.003%),複合型高脂血症を呈することが多い.電気泳動ではbroad β,アポE高値,アポE遺伝子型にてE2/E2を特徴とする.本症はアポE2のLDL受容体に対する結合能低下が成因である
.また著明な高トリグリセライド血症(1,000mg/dl以上)は急性膵炎,静脈血栓症の発症を予防するうえからも厳しい管理が必要である
7.肥満
「肥満」を医学的に定義すると「体脂肪が過剰に蓄積した状態」となるが,現在のところ正確かつ簡便な脂肪量の測定法はなく,一般臨床においては身長と体重を用いて体脂肪量を推定する.日本肥満学会では「身長(m)×身長 × 22(kg)」を標準体重とし,肥満度+20%以上(BMLにして26.4)を「肥満」としている.
肥満症
「肥満症」とは,「脂肪の過剰蓄積に伴う身体状況が,医学的管理を必要とするに至った状態」と定義され,一言で言えば「治療すべき肥満」である.したがって,まず「肥満」であり,鬆肥満に基づく合併症をすでに有しているか,現在なくても内臓脂肪型肥満等の場合,「肥満症」と診断する.ここでいう「内臓脂肪型肥満」とは,主として腹腔内に脂肪が蓄積し,糖尿病・高脂血症・高血圧症・虚血性心疾患などの成人病を発症しやすい肥満のことであり,臍のレベルでのCT断層像にて,内臓脂肪(V)と皮下脂肪(S)の面積比(V/S比)が0.4以上を内臓脂肪型肥満,0.4未満を皮下脂肪型肥満とする.また,減量目標は単に標準体重ではなく,肥満に伴う病態の改善するポイントにするほうが実際的である.また,内臓脂肪の減量(V/S比の改善,ウエスト周径の減少)も重要なマーカーとなる.
8.心筋梗塞と運動
心筋梗塞におけるリハビリテーションは,心機能の回復が第1の目的とされており,運動療法という概念がその根本にあることは否めない事実である.しかし,リハビリテーションということばの意味からも,単に運動療法にとらわれず,再発予防を考慮し,患者教育をも含めた総合的な心臓リハビリテーションとして捉える必要がある.
心筋梗塞のリハビリテーションには,入院期間中の急性期,退院後社会復帰までの回復期および社会復帰後の維持期がある.
現行の医療制度では,心臓リハビリテーションの施設認定を獲得すれば,心筋梗塞発症から6か月にわたり,健康保険での実施が認められ,監視下において,週に3回程度,1回につき530点が計上されている.
運動療法の目的は,身体機能を高め,身体活動に伴って起こる症状を制御し,日常生活の向上とともに満足な役割を果たせる人材として社会復帰させることである.すなわちADLとQOLの向上により身体的・精神的・社会的によい状態をもたらすことである.
急性心筋梗塞(AMI),狭心症,心不全,心臓手術後などの患者が対象となる.運動療法は,対象となる疾患の種類,重症度,病期によって異なるが,いずれの場合も,運動耐容能に基づき適正な運動処方を作成し,安全に実施することが肝要である.
狭心症の運動療法
冠動脈疾患における危険因子(高血圧,高脂血症など)の是正や,異論はあるが側副血行の増生などを目的として行われる.安定狭心症が対象であり,抗狭心症薬や血管増殖作用をもつヘパリンを併用する試みも行われている.運動強度は,ATレベルよりも心筋虚血の誘発または胸痛発現のレベルを目標とする必要がある.
9.運動耐容能の評価と運動処方の作成
運動耐容能は,心肺運動負荷試験(CPX)によってpeak VO鯤やAT(anaerobic threshold)を測定して評価する.CPXは運動療法に用いる運動の種類と同じ方法で行う.プロトコールは直線的に運動強度を増加していくramp負荷を用いる.
運動耐容能の評価と運動処方の作成2
運動強度はCPXによってwork rate(watt)で求め,ATレベルを基準としてその心拍数(HR)で処方し,その運動を一定時間持続させる.ATが測定できない場合はBorg指数13程度を基準とするか,Karvonenの式または220−年齢を用いて目標心拍数(HRT)を求める.Karvonenの式の場合は,最大心拍数(HRmax)と安静時心拍数(HRR)から,HRT=(HRmax−HRR)×0.5を用いれば,ATレベルに近いHRが得られ,後者の場合はHRT=(220−年齢)×0.6などが用いられている.心房細動(af)の症例では,HRTを決定するのは困難なので,Borg指数ないしはwork rateで設定する.1回の運動時間は30-60分,回数は週2-4回の割合で行われる.
心臓手術患者の運動療法
a.術後早期 監視型を原則とし,心電図モニターや血圧測定が可能な自転車エルゴメータが用いられる.病棟内の歩行療法もモニターが必要で,幅広い運動強度が容易に設定できる.しかし,運動強度が増すにつれて,ある程度の広さのトレーニング施設が必要となる.心臓手術患者はすべて対象となるが,代表的なのは冠動脈バイパス(CABG)例と弁置換例である.
CABG術後は,一般に運動による心拍数の増加が少ない.副交感神経緊張や心筋保護に用いる薬剤の影響によると考えられる.この場合は,HRTを用いるより,ATレベルで運動強度を設定したほうがよい.ときに心筋虚血を誘発するので,症例ごとに設定することが必要である.弁置換患者は弁逆流や狭窄が改善するので,運動療法の効果が期待できる.af例が多く,頻脈や脈拍欠損を起こしやすいので,症例ごとに運動強度を設定する必要がある.
心臓手術患者の運動療法2
術後回復期 AMI回復期の運動療法に準ずる.
CABG患者では残存虚血や左心機能の程度が問題となる.血行再建が完全な正常心機能例では,運動療法の安全域が広くなる.弁置換例では罹病期間が長く,運動筋の質的変化や筋量の減少を伴っているので,著明な運動制限が認められる.したがって,筋力トレーニングを併用した運動療法を行って身体機能の向上に努めるべきである.また,抗凝血薬療法に伴う易出血性,af,洞機能不全を合併した症例には注意が必要である
心不全
心不全患者の運動療法
心不全に対する運動療法の効果は,心機能よりも末梢機能にある.その効果は,運動耐容能を増し,日常の活動性(ADL)や生活内容(QOL)の向上をもたらす.
10.慢性閉塞性動脈硬化症
閉塞性動脈硬化症(ASO)は動脈硬化を原因として四肢に虚血を生じる病態で,慢性動脈閉塞性疾患の90%以上を占めている.高血圧や糖尿病,高脂血症などを併存する頻度が高く,脳や心血管にも閉塞性病変を有する例が少なくない.臨床的にみられる肢の虚血症状は,間欠性跛行が70%以上を占め,安静時疼痛や潰瘍・壊死などを有する重症虚血肢は20%前後にみられる.
11.慢性閉塞性肺疾患
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は肺気腫,すなわち終末細気管支より末梢の永続的な気腔拡大,慢性気管支炎(3か月以上の咳嗽,喀痰が2年以上続くもの),気管支喘息合併例も除外しない.
その発症にはほぼ全例で喫煙が大きくかかわっており,臨床的には喫煙者もしくは喫煙既往を有するものに生ずる慢性気流閉塞と捉えることができる.
診断は労作時呼吸困難を有する喫煙歴ある患者で,1秒量低下とともに拡散能低下やCT上の低濃度域が示されればよい.ただし健常者と発症者の境界は不明瞭である.重症度は1秒量で決定され,予測値に対して50%以上あるものを1期,35%以上50%未満を2期,35%未満を3期とする.
12.運動療法の禁忌
心筋梗塞発症直後,不安定狭心症,重症不整脈,重症な弁狭窄症,重症心不全,閉塞性肥大型心筋症,チアノーゼ心疾患,熱性疾患,血栓塞栓症の急性期などである.
13.スポーツにおける急死
健康状態と運動の条件
スポーツ中の急死の前駆状態
Climatic condition
心臓の構造
Coronary Calc
急性冠症候群 プラークの破裂
狭心症、心筋梗塞とは?
運動誘発性アナフィラキシー
低体温
高山病
潜水病
横紋筋融解症
スポーツ事故の具体例について
スポーツ中の急死上位10位
14.現場における救急処置
スポーツの突然死はほとんどが心臓死
心停止10秒で、意識なくなる。
1分以内に心肺蘇生へ、
心肺停止5分以上たったら頭は回復しない
早くやりすぎることを恐れない
正常の人にやって悪くなることはない!
そこにいる人が手を出す。
Bystanderによる一次救急
救急のA,B,C,
15.川崎市医師会 健康スポーツ医部会 の活動
1999.8.30 スポーツ現場でのテーピング 正地巌先生
1999.9.26 日本体力医学会 熊本
1999.10.9 (土) 16:00 講演会
武蔵小杉 ホテルザエルシー
東京女子医大 アルピニスト 今井通子
中高年の登山の医学
事故をおこさない登山を目指して
1999.11.6ー7 日本臨床スポーツ医学会総会
医師会とスポーツサポート 座長
16.健康のためのスポーツ 運動
運動習慣のある人は体力が維持されている。
ゴルフ 社用でやっていた人は、定年でやめてしまう
テニス、ハイキング、ジョギングなどはつづく。
17.高齢者のスポーツ
高齢者は、運動能力、体力の差が大きい
最大酸素摂取量、跳躍、平衡に差が出やすい
体力のない人の運動能力評価の報告が少ない。
18.運動を継続させるために
一無 二少 三多 慈恵医大 大野
たばこ 禁
アルコール、脂肪は少なく
睡眠、休養、趣味、人に多く会う
5S を さける 慶応大 山崎
salt, sugar, smoking, snack, sitting
休養日を。
翌日に疲労を残さない
1万歩を目標、3―4,000歩からスタート。
準備体操、整理体操を入れて一時間以内から。