病気のひとくちメモ
はとりクリニック 伊藤看護婦 羽鳥加筆 1999.05妊娠中に服用可能な薬 (1)
妊娠中の投薬とそのリスク評価(オーストラリア基準)による
カテゴリーA
:妊婦または妊娠可能な年齢の女性に多く使用されてきたが奇形発現頻度の増加はなく、ヒトの胎児に対する直接・間接的有害作用は観察されていない。
カテゴリー
B:妊婦または妊娠可能な年齢の女性に対する使用経験はまだ限られているが、奇形発現頻度の増加はなく、ヒトの胎児に対する他の直接・間接的有害作用は観察されていない。B
1:動物試験では胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない。B2:まだ不適切・不十分な動物実験しかえられていないという懸念はあるが、現在分かってい
る範囲では胎児に対する有害作用の頻度を増大するという証拠は得られていない。
B3
:動物実験では胎児に対する有害作用の頻度を増大させるという証拠が得られている。しかし、人への有害作用はまだ不明である。
カテゴリー
C:催奇形性はないが、薬作用によってヒト胎児または新生児に有害な作用を及ぼすか、 及ぼす可能性がある薬。カテゴリー
D:ヒトの胎児に作用して奇形、あるいは非可逆的障害の発症頻度をたかめる。カテゴリーX
:胎児に対して永続的な障害をもたらす危険性が高く妊娠中や妊娠の可能性のある時期には使用すべきではない薬。
以上
5つのカテゴリーからなっているが、使用できるのはカテゴリーA・カテゴリーB1のランクの薬 品である。鎮痛薬・麻酔薬
A:コデイン
麻酔性鎮痛剤は新生児の呼吸を抑制する場合がある。
非ステロイド抗炎症剤(
NSAID)はプロスタグランジン合成阻害作用があり妊娠後期に使用すると胎児の動脈管閉鎖きたすおそれがある。妊娠末期に投与すれば出産・分娩の遅
れをきたす。妊娠最終月に
NSAIDの継続的投与を行う場合はその適応がある場合のみ限定するべきである。分娩予定日の数日間はプロスタグランシン合成阻害作用を持つ薬の
使用は避けるべきである。
A:アセトアミノフェン(カロナール)
子宮の収縮を促すため早産や過強陣痛を
きたすことがある。妊娠中は避けるべきであ
る。
局所麻酔薬
A:リドカイン(キシロカイン)・ブピバカイン(マーカイン)・メピバカイン(カルボカイン)
ジブカイン(ペルカミン)プリロカイン(シタネスト)
抗喘息薬
抗ヒスタミン薬・制吐薬
A:ヒドロキシジン(アタラックス)・メクリジン(ボナミン)・シクリジン・クロルシクリジン
クロルフェニラミン(ポララミン)・クレマスチン(タベジール)・シプロペプタジン(ペリアクチン)
ジフェンヒドラミン(レスタミン)
メトクロプラミド(プリンペラン)
抗生剤・抗菌剤
1 セファロスポリン系
A:セファレキシン(ケフレックス)・セファロチン(ケフリン)
B1:その他のセファロスポリン系薬
A:アモキシシリン(サワシリン)・アンピシリン(ビクシリン)バカンピシリン(バカシル)
フェノキシメチルペニシリン(結晶ペニシリンVカリウム)・ベンジルペニシリン(結晶ペニシリン
G
カリウム)カルベニシリン(ゼオペン)・クロキサシリン(オルベニン)
B1:アモキシシリン、クラブラン酸(オーグメンチン)フルクロキサシリン(クルペン)
メズロシリン・ピペラシリン(ペントシリン)
A
:ナリジクス酸(ウィントマイシン)B1:シノキサシン(シノバクト)
A
:エタンプトール(エサンブトール)・イソニアジド(イスコチン)A
:マンデル酸ヘキサミン(ウロナミン)A
:クリンダマイシン(ダラシン)・リンコマイシン(リンコシン)・エリスロマイシン(エリスロマイシン)ナイスタチン(ナイスタチン)
B1
:スペクチノマイシン(トロビシン)抗パーキンソン薬
B1:トリヘキシフェニジル(アーテン)
鎮咳剤
A:エチルモルヒネ・デキストロメトルフェン(メジコン)
去痰剤
A:塩化アンモニウム・ブロムヘキシン(ビソルボン)・サポニン(セネガシロップ)
自律神経薬
A:エフェドリン(塩酸エフェドリン)・アドレナリン(ボスミン)・フェノテロール(ベロテック)
イソプレナリン(プロタノール)・オルシプレナリン(アロテック)
サルブタモール(ベネトリン)・テルブタリン(ブリカニール)
A:アトロピン(硫酸アトロピン)
パパベリン(塩酸パパベリン)メペンゾラート(トランコロン)
B1
:臭化イプラトロピウム(アトロベント)B2
:臭化ブチルスコポラミン(ブスコパン)心血管系薬
A
:ジゴキシン(ジゴシンまたはジゴキシン)その他の強心配糖体
B1
:塩酸メキシレチン(メキシチール)A
:シクランデレート(カピラン)・イソクスプリン(ズファジラン)パパベリン(塩酸パパベリン)ジピリダモール(ペルサンチン)・硝酸イソソルビド(ニトロール)・
B1
:フェントラミン(レギチーン)母体の必要性と胎児のリスクを比較して決めるべきである。
消化器系薬
A:スルファサラジン(サラゾピリン)
B1:シメチジン(タガッメト)・ラニチジン(ザンタック)
血液系の薬
1 造血剤
A:注射鉄剤(フェジン・ブルタール・フェリコン)
経口鉄剤(フェロミア・フェルム・インクレミン・テツクール)
葉酸(フォリアミン)
B1
:トラネキサム酸(トランサミン)・アプロチニン(トラジロール)内分泌薬
甲状腺ホルモン