運動療法の適応と運動処方  戻る

2000.6.28

横浜市金沢区医師会にて

川崎市医師会健康スポーツ医部会会長 

(医)はとりクリニック

川崎市幸区鹿島田1133−15

TEL&FAX 044−522−0033

羽鳥 裕

mailto:yutaka@hatori.or.jp       http://hatori.or.jp/

 

1. 運動療法指導管理料の算定 

 

スライド資料集です。

 

保険での適応は3疾患

            処方箋を交付する場合  それ以外の場合

高脂血症を主病とする     850        1,350

高血圧               900        1,200

糖尿病             1,000        1,450

 

200床未満の病院または診療所である保険医療機関 入院中以外の患者を対象

経験を有する医師が指導  運動療法にかかわる指示せんを交付

総合的な治療管理  つき1回にかぎり算定

在宅自己注射指導管理料を算定している場合は、算定できない

指導管理、検査、投薬、注射の費用は運動療法指導管理料に含まれる

運動療法、食事療法を含めた総合的な治療管理が重要

初診料を算定した月は本管理料は算定できない

1月に1回以上の総合的な治療管理は行わなければいけない 

(診察すること)  病状の悪化のときは、算定しないことが出来る

運動療法の指示せんは3月に1回は交付 交付した指示せんの写しは、診療録に貼付する 他科受診の場合も包括となる  月ごとに変えてもよい  老人保険の場合は算定できない

継続管理加算        5点    はとれる

再診料          74点

外来管理加算      52点

 

心電図(負荷心電図)、超音波、採血採尿も含まれる、 レントゲンのみ算定可能    調剤を主たる医療機関においても、請求に有利な院“それ以外”の点数を請求してよい

 

 問題点

(運動療法管理料算定の月と出来高の月との患者負担の差をどう説明するか?)

運動療法管理料と慢性疾患指導料の比較

例。 シミュレーション   薬なし、1種類、2種類

高血圧、糖尿病、高脂血症のそれぞれの場合

月に1回、月に2回、3回以上来院の場合

院内処方、調剤の場合

 

2.運動療法指示せん作成手順

高血圧 糖尿病 高脂血症 運動療法の適応

(将来、運動療法の適応になりそうな疾患

肥満症、脂肪肝、骨粗しょう症、虚血、非虚血の心不全)

 

運動負荷試験が必要か の判断

 

例。 負荷試験を行わない場合の運動処方

患者さんご自身でされる場合

運動療法施設でされる場合  スポーツクラブ

健康増進施設利用時の医療費控除

 

3.健康日本21の推進

BMI >25% 24%を20%へ

喫煙 高校3年男子 37%を 0へ

         女子 15%を 0へ

アルコール  男子 50%を 0へ

         女子 36%を 0へ

糖尿病  690万人が、今のままでは1,000万人

高脂血症 男子 10%を  5%へ

       女子 17%を8.7%へ

 

第四次 保険改革

目標  健康寿命を延ばす

生活習慣病の改善  介護を受けずに。。

12―16年

1次 がん、脳卒中、心臓病、糖尿病

2次 高血圧、高脂血症

3次 痴呆症、骨粗しょう症、歯周囲病

個別の指導を要求される

 

4.運動はからだに悪い?

活性酸素 進入した細菌を除去する作用

生体には運動そのものは有害   高強度運動は生体内で大量の酸素を消費、

そのために活性酸素が増加し細胞傷害、動脈硬化を作る。

高強度の運動をするときには、抗酸化酵素の活性を高める、

運動直後の、抗酸化物質の摂取が必要 高強度の運動は控える、

オーバートレーニングに注意。

過度の運動、長時間の運動 生命保険外交員 20,000歩 健診の成績よくない。

 

反対に、運動が身体によいことの根拠

Morris バス運転手と車掌 Harvard Alumni Study

身体活動量 Cooper Clinic

運動療法 論拠 Framingham study 16年間追跡

身体活動量と死亡  50−74歳 女性 0.95vs0.67

75歳以上  女性同様 ただし突然死は増える  男性は 弱い相関関係

フィットネスレベル インスリン感受性改善 血圧、糖・脂質代謝 がんの抑制効果

大腸がん、(50%減少)、直腸がんは余り減らさない

肺がん、前立腺がん、乳がんなどにも効果

 

5.運動の生理学的効果

 

6.心不全の運動療法

虚血性と非虚血(高血圧、心筋症ほか)

NYHA U―Vが適応

LVEFとは相関しない

LVEFが低くても元気ならばやるほうがよい

安定した心不全患者には適切な運動療法がよい

長期臥床 廃用萎縮症候群

心不全における運動療法 の 禁忌まとめ

 

参考 心臓移植の適応

peakVO2<14ml/kg/minが適応の基準

LVEFでは評価しない

 

6.虚血性心疾患は増えているか?

虚血性心疾患の死亡率   厚生白書  60人/10万人

実際に増えている   高齢者の確定診断が増えている

老人の動脈硬化が増えている

40歳代の糖尿病,高脂血症のベースの人が増えている。

いっぽう、年齢補正をすると増えていないという統計という見方もある

 

不安定狭心症とプラークの破綻

Falk 心筋梗塞を起こす直前の心電図の86%は狭窄度70%以下

 

泰江    2年以内にCAGをおこなった261例中   

             86%は75%以下の狭窄

Fuster,Libby 血管腔の大きさではなく繊維性皮膜の厚さ

Macrophargeの量、Tissue Factor

 

JAMIS 日本における心筋梗塞の抗血小板療法の効果

平均64.6歳 オッズ比

高血圧 4.8倍

糖尿病 3.4倍

虚血性心疾患のリスク

欧米 喫煙,高血圧,高コレステロール

日本 喫煙,高血圧、糖尿病

64歳以下の男性 高コレステロール血症

 

SMI(無症候性心筋梗塞)

Cohn分類

T型 健常人の2−6%

高齢者80歳以上の15%

糖尿病  30%以上

U型 心筋梗塞後 胸痛なき心筋虚血

20−50%

V型 安定狭心症がある場合 20−40%

 

7.高齢者 高血圧の治療ガイドライン 1999

個人差が大きい  160/90mmHg以上で治療

1995よりも拡張期では5mmHg下げた

年代別経年的血圧の変化

コレステロール値の経年的変化 加齢による血圧の変化

高齢者高血圧の治療チャート

コレステロールの加齢と経時変化

 

8.内臓肥満について

脂肪細胞は、内分泌細胞である

PAI-1 血栓

TNA-α 糖尿病

レプチン 肥満

アディクネクチン 動脈硬化

遊離脂肪酸  内臓脂肪

体脂肪の減量

肥満学会のガイドライン

臍の高さでCT 100cm2以上

ウエスト 男 85cm   女 90cm

つまんで厚さが2cm以上

 

8.脂質代謝の短期および長期トレーニングの効果

Tcho  10%減少     TG   20%減少

脂肪組織の脂肪酸をエネルギー源とするには VO2max40%-60%の中等度が目安 運動は、内臓脂肪の消費には運動が有効

体重減少を運動だけで行うのは無理

運動でなぜHDLcが上昇するか? 有酸素運動によりCETP活性は低下

           LCAT活性は上昇

CETP欠損症ではHDLcの著明な上昇

HDLcの増加量は、CETP活性と逆相関

マラソンランナーはCETP活性が低下

1回の230km自転車競技で、運動前よりCETP低下

有酸素運動によりLPL活性は上昇

このLPLはおもに筋肉由来、脂肪由来のLPLは低下

HTGL活性の変動は一定でない。

運動強度の強い運動は、有効か?   運動後の安静時の代謝に脂肪は使われる

運動中・後に利用される脂肪は、脂肪組織のlypolysisによって生じた遊離脂肪酸   呼吸商から求めたエネルギー利用   

軽運動時には糖以上の脂肪の利用

 

9.嫌気性代謝閾値

Borg Scale

Double Product 法

AT(Anaerobic thrshold)

LT(lactate threshold)  

OBLA(onset of blood lactate accumulation)   4mmol/l

LT強度を超える運動の脂肪動員   脂肪組織でのlypolysis

β3受容体を介して促進

70%Vo2maxを越える強い運動でβ3受容体活性亢進

酸素負債と超過代謝 運動停止後も代謝亢進が続く

初期酸素借と酸素負債は同量でない

EPCO(excess postexercise oxygen consumption)は運動強度が強いほど、持続時間が長いほど多くなる。

70%VO2maxの運動の場合、EPCOは15%になる。

強い運動の場合、カテコラミン濃度は、安静時になっても続きβ反応性も高まっているのでlipolysisは続く。

脂肪酸の再エステル化を促進する乳酸濃度は、すみやかに快復する。

 

 

10.AHA/ACSMの運動療法のガイドライン

1994AHA

Cardiac Rehabilitation Programs:

A Statement for Healthcare Professionals From the American Heart Association

1/5AMI 560億ドルの医療費のうち14%が心疾患

 

1995AHA Fletcher

Exercise standards

A Statement for Healthcare Professionals From the AHA

ESC(ヨーロッパ心臓病学会)のガイドライン

 

11.高齢者の運動能力テスト

高齢者では生活機能の衰えにつながる

平衡能テスト  閉眼10秒 開眼30秒を

実際には 5秒、20秒以下(60歳でピークの20%、80歳で5.9,0.4%)

運動を行っている、ダンス、太極拳などではよい

SSTw(shuttle stamina walk test) 10mの旗を3分間 m単位で

持久走テストは出来ない VO2maxもはかれない

安全、簡便 ほぼ反映している 高齢期に入ってからの体力は重要

 

運動群は、最終臥床期間(ねたきり)が短い 京都 木村みさか

虚血性心疾患の脂質への影響   Framingham study

総死亡は運動により減少  女性では、心疾患に関しては、Jカーブ

閉経後の高脂血症 Estrogen hormonの低下によるLDL受容体の数が減少

LDL受容体増強作用 HMG-coA還元脱水素酵素

 

12.予防医学協会の運動療法の実例

HbA1c  7.6% -> 5.5%

Tcho  276mg/dl -> 210mg/dl

空腹時インスリン 10  −>  6

食餌療法を十分やってきた人に有効

運動処方箋実例

呼気ガス分析 βブロッカー服用時  乳酸測定  BODYCOMPOSITION

%MaxHR70 歩行 %VO2Max 50%以下

months  SBP,DBP,HR,LVM に改善

代謝面での効果は低い、冠動脈のリスクは減る

高齢者 骨粗鬆が日常生活の制限  Thiazideによる改善

ブレスローの7つの健康習慣

睡眠 喫煙 体重 飲酒 運動 朝食 間食

体力の3S

Stamina Strength Suppleness

ストレッチ体操  

ストレッチする筋肉は力を抜く。 呼吸は自然に ゆったり行う

筋肉が伸ばされるときに意識する。  心地よい感覚でとめる

伸ばされた筋肉が元に戻る感覚に意識する。

PNFストレッチ 練功18法

筋力をたかめる アイソメトリックトレーニング

筋力強化  中腰の運動、絞る

アイソトーニックトレーニング

10RM法    10RM=2/3Max

 

13.ライフコーダを応用する

1985 浜松医大 加速度センサー内臓タイプ

カロリーカウンタセレクト

    運動量 総時間量 運動処方に応用

  赤外線通信ポート パソコン 表計算ソフト

  運動強度を10段階

  総消費量 運動量 歩数

  運動記録時の運動量 歩数・運動継続時間

 

14.医師会・体育協会 共同制作 スポーツ手帳

神奈川県体育協会、神奈川県医師会 共同制作

国体出場選手に携行の義務付け

過去の病歴、外傷、故障の把握アレルギー、特異体質の把握

過去の検査記録を、コンピューター(access97)管理

3年分を打ち出し・貼り付け

WebDatabaseの準備

 

ほか、  

ゴルフプレー中の突然死

1988 5年間 40−64歳 201例中

ゴルフ 56例 ランニング 38例

1番ホール狭心症 グリーン回りが多い

 

 

15.スポーツイベント情報

日本体育協会  http://www.japon-sports.or.jp 

日本リクレーション協会 http://www.recreation.or.jp 

笹川スポーツ財団  http://ssf.or.jp 

海外情報   http://www.world-sports.com 

カナダ     http://www.sportquest.com 

まなびネット  http://www.manabinet.gr.jp/map.html 

練習相手   http://www.web-league.net/ 

スポーツインデックス http://www.index.co.jp/sports/ 

 

 

 

 

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